うなだれたままほとんど失神したようになっている市川くんの閉じた目から、涙がぽとりと床に落ちた。

初めて男の子の裸を見て、しかもその男の子のおちんちんを自分たちの手で壊すという異常な体験をした女の子たちは皆興奮していた。
その狂気の中で、注射器の中身は18個の紙コップに小分けにされてリンゴジュースに混ぜられ、みんなで飲みほしてしまった。
ホルモン剤が切れてだらりとぶら下がった市川くんのおちんちんに、クラス委員の佐久間さんが割り箸を突っ込むと、串刺しになったおちんちんに由佳様がタバコの火をグリグリと押しつけた。
泣き叫ぶ市川くんの姿を見て、みんな笑った。みんなおかしくなっていた。
きっとみんな、男の子を、その男の子の象徴を虐めることに至上の快感を感じるようになってしまっていたのだった。

その後のことは面倒だから書かないけれど、私は今でもこの夏の日の出来事をはっきりと思い出すことが出来る。
男の子から、男の子としての機能を無理やり奪う。その体験はまだ12歳だった女の子にはあまりにも強烈すぎて、あの日見た光景は何もかも私の意識に消しがたく焼き付き、それはそのまま今の私の性癖になってしまったのだ。
この経験を書いたり人に話したりするのは初めてだけれど、もしこんな話を聞いて少しでも心が動いた男の子がいたら、いつでも私のところにいらっしゃい。あなたの「男の子」を、私が玩具みたいに弄くり、完全に壊してあげるから。

(終わり)