スパ小説 その2
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あくまで妄想なんだが、とあるスレで叩かれまくってる奴で
書いてみた。スパシーンはない。
さわりなんだが、どうよ? 優香(ゆか)その1
毎朝起きるたびに。
あたしは・・・一日が始まると思うとうんざりする。
顔も合わせたくない、しゃべりたくない人だらけ。
身近にいる家族でさえそうだもん。
持ってる病気のせいで、お腹一杯食べることも出来ない。
起きてすぐに、顔を洗って服に着替えて。
食事前にすることがひとつだけ。
冷蔵庫から、いつものものを取り出しセットする。
消毒をして、針セットして。
お腹まくって・・・ふと見ると内出血の痕が一杯。
以前は注射器だったんだけど。ペンタイプのものに変わってから
こういう傷が増えたんだよね。
まだまだ、20代なのに。
この注射は、一生続けていかなくてはいけないんだって。
仕方ないよね、あたし糖尿病なんだもん。
血糖のコントロールもあまり良くないので、
検査のある前後の食事はかなり気をつけてる。
主治医の先生が、結構厳しいからね。
でも、何故か知らないけど、いい加減な食事慮法してるとすぐに
言われるんだよね・・・。
せんせ、何で分かるんだろ?
ま、いいか。
何か言われたら、適当にごまかして置こうっと。
軽くため息をついて。
お腹に針を刺そうとした瞬間。
「ありす!!」
最悪なタイミングで声掛けるのはただ一人しかいない。
「待ってよ!母さん。あたし、注射がまだなの。」
極力、控えめに言ったつもりだったのに、向こうは
お気に召さなかったらしい。
「あんたの事情なんか聞いてないわよ。早くご飯食べちゃってよ。
トロトロしてたら、仕事だった遅れるわよ。」
一体何様なのよ!!この人!!!(怒)
ご飯は、そっちの都合じゃん。
ココで言い返さない代わりに、嫌味をこめてため息をついてやる。
軽くにらんでやったけど。
とーってもいらいらしたせいか注射が妙に痛かった気がする。
朝から、トラブルの種なんてうんざり。
こういう言い方しかしない親って子供にとっては
不幸以外の何者でもないよね?
何よりも。
こんな親から生まれてきたあたしが最高に不幸だと思うよ、絶対。
もう、こんな生活嫌だ・・・。 続きの更新ないんで、僭越ながら…
不機嫌な顔のままテーブルに向かうと、わざと音をたてて椅子に座る。こんな気分のままじゃ、食べる気しないよ、ったく。
「おにぃちゃぁ…ん」
ふと声にだしてみる。
この家には、あたしの居場所はないんだ。大好きなお兄ちゃんも仕事で家を出てて、あたしを守ってはくれない。
「早く食べなさい!!」
台所から怒鳴り声が響く。
もう、ほっといてよ!…キレそうになるのを我慢して、車のキーを掴んで部屋を出る。
後ろからまた、何か罵声が浴びせられるけど無視してやるんだもん。
朝ご飯食べ損ねたけど、あ、薬も飲んでないけど…まぁいいや。 玄関で靴履いて、壁に掛けてある鏡を見る。
ストレートの長い髪に、チャームポイントの丸い顔。鏡の中には不機嫌なあたしがいて…慌てて笑顔をつくる。笑顔は大切だもん。
あたしって、お洒落に興味がなくて洋服のセンスないみたいなんだよね。でも通勤が車だから、別にいいよね?
愛車はラテ。あまりお金はないけど、車買う時は新車って決めてるんだ。それはあたしのこだわり。
エンジンをかけると、スピーカーから大好きなキンキさんの歌が流れる。
作者Bさん、GJ!!
次は、仕事の話行こうと思ったけど、この続きを考えた方が面白そう。
ある程度書いたら、次の導入考えるから。 その曲を聴きながら、あたしはゆっくりと車を走らせる。
今は、とりあえず仕事に行かないと。
あの家よりは、まだ職場の方がマシだもん。
仕事が遅いって言われようが、相方のおばちゃんに
裏でこそこそ言われてても。
患者さんの笑顔さえあれば大丈夫だから。
キンキさんの歌を聞きながら、ずっと歌ってたせいで
(ホントはこういう時speedの曲の方がいいんだけどね)
職場につく頃には、気持ちも落ち着いてきていた。
さあ、今日も頑張らなきゃね♪
あたしは、何故かどんな仕事をしても長く続いたことがない。
レジのバイト。事務。介護関係とか看護助手。
体が弱いせいか、すぐ体調こわすんだよね。
どこの職場にも、嫌な人っているんだけど・・・そういう人と
ことごとく相性も悪いみたい。
あたし、嫌われることした覚えないのに。
何でだろう?
出勤してすぐの仕事は、食事介助とか食事の下膳が多いかな?
夜勤者は朝の引継ぎがあるから、忙しいみたい。
今の時間、看護師さんたちは引継ぎ(申し送り)の最中。
ナースコールも極力取って集中できるようにするつもり。
RRRRRRRRRRRR・・・・。
おっと、行かなくては。
とりあえず、すたすたとその部屋に向かったんだけど。
コールを取った部屋の人、私と同じ病気で入院してるんだ。
でも、どうもその認識がないの。
桜井とめさん、88歳。
糖尿病&認知あり。
入院した当初は、大部屋に入っていたらしいけど
同じ部屋の人の食べ物を盗んだりトラブルが絶えないため
個室に移ったみたい。
部屋に入ってすぐ、見えた光景は。
ほとんど空っぽの食事とお菓子が沢山。
さすがに、それを見た瞬間血の気が引いた。
コレじゃ入院してる意味ないよお〜。
さすがのあたしも、ただびっくりするばかり。
そんなあたしに追い討ちをかけるように。
「そこのねーちゃん。なんか買ってきなさいって!!
これじゃ、全然お腹一杯にならん。
ほら!!お金渡すから。」
って、あっさり買ってくるほどあたしも馬鹿じゃない。
「桜井さん、今何のために入院してるのか分かってます?」
「単純に検査入院だろう。わたしゃ、どっこも悪くないのに
何でここにいなきゃいけないんだ?
あんたに頼んだあたしが馬鹿だったよ。
もう帰ろうかねえ。」
うう・・。
何でそうなるんだろう?
とりあえず、今の状況を分かって欲しくて言葉を続けた。
「桜井さんは、糖尿病なんです。だからこれ以上何か食べることは
良くないことなんです、だから、何かを買ってくることは出来ません。」
「入院させられた上に、食べたい物も買って来れないなんて。
楽しみなんかありゃしないじゃないかっ。」
最後のほうは、かなり怒気をはらんでいた。
そんな風に言われても、あたしに何が出来るんだ。
「中川さん!!あなた一体何してるのっ。」
中川っていうのは、あたしの苗字ね。
部屋の前に立っていたのは、ココの病棟の主任さんだった。
「えーと・・・。」
言葉に詰まってると、とめさんが話を始めた。
「あたしゃ、ご飯の後に何か買って来いってこの子に頼んだんですわ。
それが出来ないって言われて、かっとなってしまっただけですよ。」
「なるほど、事情は分かりました。私も彼女と同じことを言うと思います。
ただ、もう少し言い方は考えますけどね」
軽くため息をついて、主任さんは出て行ってしまった。
さすがにとめさんも、いけないことだと分かったみたい。
「悪かったね、そこのねーちゃん。」
あたしの立場って、なんだか微妙。
今更、謝られてもねえ・・・。
「気にしないで下さい、いいんです。
それでは失礼します。」
そそくさと部屋から出て行った。
部屋から出て、とりあえず業務に戻ろう思った瞬間。
主任さんが目の前にいた。
「中川さん、あなた一体どういうつもりなのかしら。
ああいう対応じゃ、みんな怒るのよね。
ゆっくり話も聞かずに否定されたらどんな気分するか考えたことある?
介護の経験あるから、大丈夫と思ってたけど、そうでもないみたいね。」
あたしは、何も出来ず立ち尽くすしかなかった。
あたしは、ただ、患者さんたちの笑顔を見たいだけなのに。
いつもこんな風にしか出来ないんだろう・・・。
あたしってホント駄目な子だよね。
・・・・。
嫌だな、こんなことばかり考えてたら落ち込むだけなのにね。
後ろは振り向かない、前を見て歩いていかなきゃ。
ようやく、気持ちを落ち着かせて仕事に戻ろうと思ったんだけど。
あれ?何だか、変だ。
ものすごく、体がだるくて立っていられなくて。
同時に、冷や汗をかいているみたい。
低血糖を起こしたと気づいた時には、もうすでに
あたしの意識は、ブラックアウトしていた。
考えてみれば、このスレってスパ小説なんですよね。
彼女の視点ばかりで書いてると、いつになっても
スパが出てこないので、もう一人の主人公を出そうと思っています。
優香とは、全く正反対のベクトル持った子ですけどね。 まりか 1
じりりりりりっ。
音量最大にして、枕元においてるせいかな?
思わず、すぐに飛び起きてしまう。
寝起きが最悪だった私も、今の仕事に付くようになって
マシな部類になった気がする。
学生時代よりも、規則正しいのかも。
勤務表に手を伸ばし、今日の勤務を確認する。
今日から、しばらくは昼間の生活みたいだね。
え?
なんのことだって?
仕事の関係で昼夜問わず勤務してるの。
いわゆる3k って言われてる仕事だけど。
私、看護師なんだよね。
白衣の天使なんて聞こえはいいけど。かなり激務。
ずっと立ちっぱなしで、足はパンパンだし。
腰痛持ちだって回りに沢山。
そのうえ、まだ新人の私は先輩について教えて頂いてる立場。
命預かってる現場だから、緊張感たっぷり。
ようやく、注射が打てるようになったくらい。
最初は、手が震えて緊張しまくって
患者さんを動揺させてどうするのって、叱られてばかり。
まだまだ全然未熟だけど。
精一杯、やれることをやるしかないんだ。
私は、誰の手も借りず一人で生きていかなくてはいけないんだから。
生まれてから、ずっと私は実親から虐待を受けてきた。
一歩間違えれば、確実に死ぬようなものを。
諸事情のため、私は彼等から引き離され、施設で育った。
看護学校も奨学金で通った。
彼らからの経済援助の受け入れもあったらしいが
施設の人がしかるべき方法で拒否したみたい。
私にとって、最高の復讐は自分を傷つけた人間よりもずっとずっと
成長して見返してやること。
本来なら、一番愛情を与えるべき人間から虐待を受けてたなんて
あまりおおっぴらに公言できない。
だけど、私は自分が不幸なんて思ってない。
これからだって、努力していけば結果はおのずとついて来るんだから。
ただ、唯一残念なことは。
きっと心から誰かを好きになることはないのかもしれない。
誰かにきちんと受け入れてもらえなかった人間が
誰かを好きになることはないんだから。
とりあえず、もう一人登場させてみました。
しばらくは、「まりか」視点が続きます。
「優香」とどうからむかは、お楽しみということで。 まりか 2
こんな仕事してると、オンオフの切り替えって結構難しい。
なので、私は必ず白衣に着替えた後キャップをかぶるようにしている。
看護師もかなり様変わりしてきていて。
かなりの病院でナースキャップ廃止のところが増えてきている。
単純に感染予防の観点で不潔とか言うのが一番の理由らしい。
幸か不幸か、今のところはキャップ着用が義務付けられている。
私は、何となくあったほうが助かるかな?
病院内の敷地内の寮にいるせいもあって、
切り替えが出来るものがあるだけでも違うんだよね。。
今の職場に入ってきて、もう2週間。
何とか少しずつ業務にも慣れてきた。
まだまだ、ひよっこかもしれないけど
病院の朝は、本当に忙しい。
病棟に上がってくるとすぐに担当の確認。すぐに申し送りに入る。
昼と夜は、状態が変わるので注意しながら、聞き取り、
自分のノートに書き込んでいく。
それが終わると、プリセプターの先輩について、検温したり
モーニングケアとか処置に入る。
大体なんだけど、大部屋2〜3部屋を一人で受け持つ。
それの記録なんかも入ってくるし。
重傷者は、まだ経験を積まないと担当すらさせてもらえないらしい。
リーダー業務とか夜勤なんてまだ先の話。
ココは内科だから、まだ楽な方みたいだけど。
それでもいまの私にはいっぱいいっぱい。
申し送りもひたすら、書き殴ってるって言うのが現状なんだよね。
RRRRRRRR・・・・。
おっと、コールがなったみたい。
コール取ろうとしたら・・・ちょっと太目のまん丸顔の看護助手さんが
行っちゃったみたい。
確か、あそこの部屋って桜井さんだよね。
あの子、大丈夫かなあ〜。
前に大変な目に遭ったことあるし。
ま、何かあったら報告に来るよね。
そんなことを思いつつ、申し送りの方に気持ちを集中させて
いたんだけど。
それはほんの数分で、打ち切られることになる。
例の助手さんらしき子と桜井さんが口論を始めてしまったみたい。
ありえないよ、何でそういうことできるんだろう?
え?
私は、どう対応したのかって?
こういう手は姑息なのかもしれないけど、ココに来たばかりで
よく分からないから上の人に確認とって来ますって、うまく誤魔化してきたの。
その後は、きちんと報告して先輩方の判断を仰いだけどね。
この人は、DM(糖尿病)あるし、コントロールが難しいらしくて
トラブルメーカーだし、みんな対応に困ってるのも事実なんだよね。
結局、主任さんが桜井さんのところに行き、うまく宥めたみたいだ。
で、例の彼女は。
しょんぼりした表情を浮かべ、また仕事に戻ったみたい。
でも、何だか様子が変な気がする。
歩き方がおかしいし、顔色も何だか青白いし。
本当に大丈夫かな、と思った瞬間。
彼女が、足から崩れ落ちるようにして倒れていった。
思わず、私は何も考えず走り出した。
「助手さんが!」
思わず大声も出してしまったけど。
「え?」
つい、さっきまで話していて主任さんが真っ先に彼女に駆け寄り、
意識を確認する。
声掛けに反応して、かろうじてうっすら目を開ける程度みたい。
「これが、339度の方式(意識を確認する方法)で2桁のレベルね。
覚えときなさい、山崎さん。」
声をした方を見ると、今日指導してくれる予定の先輩だった。
「あ、はい。覚えておきます。山本さん、送りの最中なのに
出て行ってしまってすいませんでした。」
「いいよ、うちらの担当は終わってたし、こういう時フットワークが
軽いって言うのは悪いことじゃないから。」
「山本さん、山崎さん、悪いんだけどストレッチャー(患者さんを運ぶための
担架のようなもの)持ってきて!!」
「「はい」」
>>33
コレを書いていくと、どうしてもおかしくなる部分が出てきたので
もう一人の主人公を作りました。
医学的に、ある程度説明できるキャラが要りそうでしたから。
彼女の状態とかを、客観的に書ける人って必要でしょう?
ちなみにリアルでは彼女は優香のことを相当嫌っています。
先輩と一緒に、ストレッチャーを取りに行き、例の助手さん
(名前は中川さんって言うらしい)を3人で抱えたんだけど。
こういうのは、不謹慎だと怒られてしまうかもしれないけど。
彼女、何だか重かったんだ。
3人じゃなかったら、多分、ストレッチャーに乗せられなかったかも。
彼女を運びながら、主任さんがてきぱきと指示を出す。
「処置室に運んでから、まずはバイタル(体温、脈拍、血圧、呼吸のこと)ね。
私は、先生に連絡して他の指示貰っておくから。
ルート確保する準備しといて。」
「はい。分かりました。」
処置室につくと、真っ先にバイタルを測り始める。
熱は、平熱。脈は100前後。
血圧は、90と56で結構低い。
これって、ショック状態かな?
とりあえず、山本さんに報告する。
「確かにそうかもしれないけど、体きちんと見てた?
顔面蒼白だったよね?冷や汗かいてたよね?体も冷たかったよね。
この人が楽になるように、ズボンとか緩めた?」
そうだった。
完全に見落としてた。ケアをしながら、ちゃんと見る癖をつけなくては。
先輩の言うとおりに、しなきゃいけないのに。
まずは、足を上げて。(血圧が低い場合、こういう処置をすることも)
毛布を用意して。
ズボンを緩めてって・・・え?
「山本さん!これって・・・。」
お腹の内出血を見た瞬間、思わず血の気が引いた。
もしかしてコレって・・・。
山本さんも、それを見た瞬間、表情が変わっていくのが分かった。
即座に、山本さんが彼女に話し始めた。
「中川さん!!中川さん!!話さなくてもいいです。
もし、あなたがインシュリンをしてるんなら、手を握ってください。」
ぎゅっ。
「山崎さん、BS(血糖)測って。ズッカ(ぶとう糖)用意しておくから。」
先輩の言うとおり、血糖は低くて50mg/?しかなかった。
(正常な人の場合、大体は80〜100位です)
コレは、完全に低血糖だよね。
先輩とほぼ入れ違いで主任さんが戻ってきてたので報告する。
「低血糖だったのね。まさかインシュリンしてるなんて知らなかったわ。
多分、BSが戻れば意識も戻るから、その時に事情を聞きましょう。
先生もすぐ来られるから、もう大丈夫だと思うけど。
山本さんが戻ってきたら、業務に戻っていいから。」
やり取りをしてる間に先輩が戻ってきたので、
後ろ髪を引かれる思いで私は業務に戻ることになった。
後で知ったんだけど、彼女、朝のインシュリンを打った後、
ご飯も食べずにココに来て仕事をしていたらしい。
何だか、考えただけでもぞっとする。
倒れたのがココでなかったら、間違いなく
大きな障害を残していたかもしれないのに。
それだけじゃない、気になったことがもうひとつ。
お腹の内出血は、インシュリンで片付くんだけど、
足背(足の甲)とかに内出血がたくさんあったのね。
腕にもリストカットの痕みたいなものも。
この人とは、全く面識がないから分からないんだけど。
何か違うところで大きな問題を抱えてるんじゃないかって
気がしたんだ。
一応、主任さんにも、報告はしておいたけど。
こんなにトラブル抱えてるスタッフって
仕事させても大丈夫なのかって気にはなるけどね。
そうでなくても、欠勤が多かったり他のスタッフからの苦情も
ダントツに多いらしい。
しかも、精神科にいくように勧められていたのに
断ったこともあったとか。
どうやら、彼女は派遣のスタッフみたいだから、色々理由をつけて
期限が過ぎたら、即、契約を切る予定だったみたい。
こんな人に、間違っても命なんか預けたくないよね。
彼女は、結局、契約期間前に辞めてしまったみたい。
ほとんど、面識もなく話すこともなかったんだけど。
もし、今、ひとつだけ質問できるなら、
私は、こう言うだろう。
もし、あなたが患者の立場なら、自分自身に命を預けたいと思いますか?
もし、それで「はい」と答えたなら。
私は、彼女を絶対に許さないと思う。
優香 3
真っ暗な意識の中で自分が倒れたことに気づいた。
体がまるで鉛か何かで出来てるかのように重い。
自分の意志など全く無視されてるみたい。
誰かが、遠くで叫んでいる。
「助手さんが・・・。」
助手さんって誰だっけ・・・まさか、あたしのことじゃないよね?
誰かの足音が聞こえてくる。
「中川さん、中川さん!!」
どうやらあたしのことだったみたい。
ようやく、体を揺さぶられて何とか目だけは開けることが出来た。
主任さんのほかに、看護師さんが2人。
小柄で、新人らしき子とベテランさんらしき人が1人。
意識のレベルがどうとか、ストレッチャーを持ってきてとか
何か話しているのが分かった。
程なくして、ストレッチャーが来ると体が持ち上げられた。
こういう体型だから、結構重くないのかな、あたしって。
それに載せられたまま、あたしはどこかに移動させられたみたい。
話したかったけど、話せる状態でもなかったし。
何もしなければ、意識さえしっかり保てるような
状態でもなかったし。
どこかの部屋に運ばれた後、色々と処置されたみたいだった。
うっすらインシュリンを打ってるかどうかを聞かれて手を握った覚えだけはあるんだよね。
その後、ブドウ糖の注射を打ったあとは、段々意識が戻ってきて。
主任さんに色々聞かれたんだ。
DMのこと、足の甲に残ってる内出血とか。
リスカの傷についてとか。
あたしは派遣だし、あえて向こうに健康状態のことも話してなかったのね。
優さえきちんとしておけば、何も問題ないんだし。
それに関して、主任さんはこの状態で仕事をしていて。
なにかが起こってからでは遅いといわれたんだ。
あの時。
患者さんをトランス(移乗)する途中だったり、
清拭車(熱い蒸しタオルが入っている機械)みたいなものを運んでいたら。
被害にあうのは、あなたじゃなくて患者さんじゃないのって。
それで事故を起こしたときに責任取れるのかって。
そうでなくても、今の段階で欠勤が多くて。
戦力として、期待も出来ないとも言われてしまった。
優香は、患者さんの笑顔が見たいだけなのに。
その為に、いろんなこと我慢してたら本当の優香でいられなくなるような気がして。
あたしは、こういう仕事に向いてないのかな。
優香は、ただ、きつくて休んでいても。
サボりにしか見えないのかな?
お願い、誰でもいいから優香を癒して。
もう耐えられそうにない。
あたしは、また逃げ出すことしか出来ないのかもしれない。
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