や汗、唾などが混ざった牛乳を飲むのは、どうしても躊躇われてしまうのだ。それも、二人分もの
汚物が入った牛乳など…
彼は救いを求めるような目で優子の方を見た。いつもおとなしい優子なら、なんとか助けてくれる
のではないかと思ったのだ。
だが優子は学の目をじっと見た後、にこりとも笑わずに短く言い捨てた。
「飲んで」
学は、諦めるしかなかった。彼は決死の覚悟で牛乳を口にした。いつもの牛乳じゃない。明らかに
変な味がする。周囲から巻き起こるイッキコールの中、彼は真っ青にして牛乳を飲み干したのだっ
た。
そんな風に、優子はある意味でどんな女子よりも残酷だった。
無表情な顔つきで、短く、全ての望みを絶つように命令をする少女。綺麗な顔立ちで何も知らない
他クラスの男子からは人気もあった彼女だが、5年A組の男子にとってはやはり畏怖の対象だった。
そして今日の昼休みも彼女は猛威を振るう。
「むぐ…」
自分の席について本を読む優子の下から、呻き声が聞こえる。彼女の奴隷男子、秀行が顔面騎乗さ
れていた。秀行の顔をクッションにして、優子は本を読んでいるのだ。
彼は特に悪いことをしたわけではない。このクラスでは男子の行動に理不尽な言いがかりをつけ、
罰としてお仕置きするというのが一般的だったが、優子にそんな概念は持ち合わせていなかった。
昼休みが始まるころ。いつ虐められるかと思いながら自分の席に小さくなって座っていた秀行に、
優子は唐突に言った。
「そこ、寝て」
それには何のきっかけもなかった。ただ単に優子が「それをやりたい」と思ったから、秀行は今日
もまた犠牲になるのだ。
「んー!」
秀行は藻掻き苦しんでいる。優子は発達したお尻で秀行の顔を踏みにじりっぱなしだった。少しの
息継ぎも与えられない。そして彼に何の言葉もかけない。
普通、女子達は男子を虐める際に散々罵ったり、お尻をぐりぐりと押しつけたりした。だが優子は
それもしない。完全な無視状態。それが秀行には辛かった。まるで自分が本当に優子専用のクッシ
ョンになってしまったのでは、と錯覚するほどだった。
放置プレイの天才、優子。彼女の迫力は味わってみなければ分からない。