ホームステイは最大で3年の区切りがある。
預る側には、少なくともサレジオに大検合格をさせる義務があり、
その進捗状況は動画のビデオレターと共に一定期間ごとに親せき宅へ送られるはず。

そんな常識は、聖天使残党の荘園と化した山村に通用しなかった。
山村というより実質、閉鎖空間だ。
分校とやらは、タイヤを苛みながら自動車で片道40分。
対向車が来たらアウトの、ほとんどけもの道を抜けた先にある、木造の廃校。

ホームステイ先は、廃校から獣道みたいなところを通って10分ほどのところにある農家。
農家と言っても、平野部の大きい農家の納屋ほどの広さがあるだけ。
そこの納屋に至っては、どこに収穫物を収めていたのかわからないほど狭隘な農具小屋みたいな
ボロい建物だ。

しかも聖天使学園の残党たちが、少ない住人を体で手なずけてカルト化してる。
行きは車を出してもらえたものの、廃校のすぐ近くでは首輪のついた犬が放し飼いになっており
「中島くん、この道でもあのコたち駆けてくるかんね」と言われてしまった。

そして、廃校のグラウンド。草を抜いた後が、整地しても残ってる。
女手の限界か、と無意味にホッとしたのもつかの間。
「あー、ひさしぶりー。サレジオくん、元気してたあ」。
出迎えに来た、女性教員。少し、顔面の余計なラインが目立つようになってる?

ゴールデンウィークの間のことは、皆さんにお任せする。
だが、ゴールデンウィーク明けの5月の時間割は、以下の通り。