>>784 続き
   
 「異議あり!」
  今度は弁護人のひとりが言った。
 「検察側の異議は憶測によるものです。
  アンドレイが奴隷になる快楽、女性から虐げられる快楽を欲する性癖だという根拠は、
  どこにも示されておりません」
  裁判長は頷いた。
 「異議を認めます。
  検察は憶測による発言を控えるように」
    
  弁護人はさらに続けた。
 「入廷の時から現在に至るまでの間のアンドレイの表情や態度をご覧になれば、
  一目瞭然かと思います。どう見ても快楽を得ている様子はありません。
  全裸で奴隷の姿にさせられ、大勢の女性の前で晒し者、
  必死に屈辱と戦っている状態であることは明白かと思います。
  このひと月間の調教にも弁護人は時々立ち会いましたが、
  やはり快楽を得ている様子はなく、屈辱を必死で堪えているのがわかりました。
  調教にあたっておられるメーサ様や親衛隊員たちからの報告でも同じです。
  また捕虜になったアンドレイの元部下からも聴取しましたが、
  アンドレイはノーマルな性癖で女性にも淡白だそうです。
  一度に複数の女性と交際することもなく、今は王族の女性のひとり交際中だそうです。
  相手が相手ですので、おそらくまだ性交にすら至ってないつきあいだそうです。
  無論、女性から虐げられたり、女性を虐げたり、と言った嗜好もないようです。
  また、男同士の性愛にもまったく興味がないようです」