没文章(※形を整えましたが、やはり段落のつながりはおかしいです)

男の人がこちらを振り向く。やっと呼びかけに応えてくれた。
その姿は、息を呑むものだった。息を呑む、の意味が今日、分った。
男の人の体の表側は、背面以上に生傷ができていた。
背面も肌色のところの方が少なかったけど、肌色を見つけにくいほどではなかった。

男の人のおへその下あたりに、黒い字でアルファベットが書いてある。
「Slave」。ローマ字じゃない。何て書いてあるんだろう?
「なにされてるんですか、おしえ」男の人はぼくの声を遮って、すごい勢いで言い始める。
「はやくにげろ!」「にげろ!!」同時に男の人が眺めていた天井の方でブツッと音が鳴る。
校内放送のスピーカーがあるようだ。「自転車の男の子ですね、そこで待ってて下さい」、
「この人は危ないウソつきです」・・・。こっちもすごい勢いだ。

ぼくだって、クラスじゃ背が大きくて、力があるほうだ。けんかもしたことがある。
隣の部屋のロッカーから短い鞭――1m物差しより長いけど、大人の竹刀より短い――と、
鞭競技のストック・ウィップを取って、二刀流で、次にどうなるかを待った。