「ヒいぃぃぃぃぃぃっっ」
奥歯がギリッと擦れて、おれは鳥肌を立てて一息吐ききった。
「雄太に焼印2つ捺します、皮ピアスはナシです」
「どうして、里帆ちゃん?」
「誘惑に耐えさせたり、懲罰覚悟でセックスをして欲しいんです」
ハキハキと応える里帆。
おれは里帆のお腹を思いっきり殴りつけたい衝動に駆られた。
「はーい、里帆さん以外の子とセックスしたらどーするんですかっ?」
クラスの女子が手を挙げながら、どちらへともなく質問する。
「人間は包茎男子と交わったりしないの。どの子とセックスしても懲罰なのよ?」
「懲罰覚悟でセックスの命令に背くのも、包茎奴隷の義務なの。雄太はどうする?」
「りほさまにじかんむちだけは堪忍してーーっっ」
里帆の表情がサッと曇った。
「ふうん、だったら3校時、鞭でぶつわっ」
里帆は急に、本気で機嫌を悪くした…としか見えなかったし、事実そうだった。
「ぅっ、ぉぇぇ」
胃の腑がグリグリに捩れたような気持ち悪さに、おれは思わず嘔吐いてしまった。
両膝の震えはピークに達して、鉄輪と包皮ピアスがガチャガチャガチャガチャとけたたましい。
「雄太!さいってー!」
へどが垂れたリノリウムの床から、視線を上げる。
途中で女子たちの児童机の下が見えて景色が良いから、いちもつが勝手に元気を取り戻していく。
「雄太、体育館の脇の木造トイレへつなぐわよ!?」
コンッ、コンッ、「はい静かにっ、焼印は冬季限定だからまだずっと先です」