「荒崎結紀、27歳、職業 弁護士、反政府過激活動により逮捕か」
「東大出のエリート弁護士先生が、何でまた反政府活動など」
「それにしても可愛いお顔ですな。とても27歳には見えない」
「大学生といっても通りそうですな」
「何でも先生は学生時代に二十歳で司法試験合格し、弁護士登録されたとか」
「ああ、一時期、女子大生弁護士で有名になりましたな」
「あの頃と見た目はほとんと変わらない」
「いや、あの頃よりグラマーになられたので」
「では、先生、さっそく着ているものを脱いでいただきましょうか。身体検査です」
「言っておきますが、ここでは先生のおっしゃる『人権』とやらは、まったくありませんからね」
「そう。特に反政府活動の思想犯は犬扱いですからね」
「仲間の身の安全のためにも。リーダー格の先生が大人しく従った方が良いかと思いますが」
結紀を捕えた特高警察と思想警察の隊員たちは口々にそう言った。
新崎結紀は黙って唇を噛み締めながら、深く深呼吸をした。