>>319 続き
  
 「結紀、どうしたんだ。何だかぼうっとして」

  結紀の恋人はベットに腰かけながら言った。
  はっと、結紀は我に返った。

 「やはり婚前交渉は抵抗があるのか。嫌なら正式に結婚してからでもいいんだぞ」
 
  妄想を振り払って結紀は慌てていった。

 「そんなことはないわ。
  ちょっと仕事の疲れで、シャワーを浴びたらぼうっとただけ。
  でも……」

 「でも、何だ?」
 「あ、あのう、わ、わたしまだ処女なの。
  恥ずかしいけど、この歳になって、まだ初めてなの。
  や、やさしくしてくださいね」

  結紀の恋人はやさしく苦笑した。

                   『エリート弁護士荒崎結紀の妄想』(完)