四十九

 もちろん三軍の奈穂子にお盆休みなどない。
 八月初めからふだんと同じように大学内で練習に励んだ後、
お盆を挟んだ一週間は学内の合宿所に寝泊まりして、
基礎錬を中心としたトレーニングに励むことになった。
 理央やユウカたちも交替で寝泊まりするので、奈穂子は24時間監視付である。
 すでに大学の近辺では奈穂子の存在は有名になっていたので、ワードワークの時間帯はもちろん、
練習時間外にコンビニや食事に出かける時は、お盆休みの時期にもかかわらず、
男子学生や高校生らしきひとがたくさんいて、写真をとろうと待ち構えていた。
「奈穂子さん、スクブルお似合いだよ」
「これからもスクブルで頑張ってね」
「スクブル奈穂子頑張れ!」
 しかし男子学生たちの好奇の目以上につらいのは、同じ女性からの眼であった。