>>189
続きです。


     十二

 さっそくユウカはただひとり居残り特訓を受けた。
 奈穂子も一緒にシゴキを受けることを希望したのだが、認められなかった。
 わざとユウカの惨めな姿を見せることによって、
奈穂子にふだんの自分のみっともない姿を思い知らせようという意図からだった。

 ユウカは屈辱的な四軍降格のシゴキと奈穂子の汗がたっぷり染みた練習着の不快さに
必死で耐えていた。しかも奈穂子に気取られないように気を使わなければならなかった。
 下級生のレギュラーから散々基礎錬でしごかれ、止めはロードワークだった。
 夏休みとはいえ、大学のキャンパスや周辺は、部活帰りの学生や生徒でいっぱいだった。
 体操服・スクールブルマ姿のユウカは目ざとく見つかってしまった。
「あれ、今日は違う子が走っているぞ」
「いつものようにゼッケンをつけていないな」
「でも、スクブル・体操服は同じだぞ」
「奈穂子という子と同じ三軍なのかな」
「この子も可愛いな」