力強く請け負ってやると二宮くんは感極まった様に涙をこぼした。安心したのだろう。
「必ず企画を通すからね」
二宮くんはタオルに顔を埋めている。意外に純情なのだ。年甲斐もなく胸がきゅんとした。少し手ひどく扱い過ぎたかもしれない。
「二宮くん…」
肩に手を置こうとすると軽く避けられた。
「はい、終了ーっ」
二宮くんは先程の泣顔が嘘のようにケロッとしている。
「今の約束、録音しました。すでに私のPCに送信済みです」
「えっ?」
「んふふふ、楽しんで頂けた様で何よりです。約束、守ってくれますよね」
二宮くんは悪魔の様な艶やかな笑顔で言った。全ては演技だったのだ。
こうして二宮くんに骨抜きにされた男がまた一人業界に生まれたのだった。