「いらっしゃい。どうぞ。」
藍先生ににこやかに迎えられ、少年は些か戸惑った。
運動の時のジャージ以外は、髪をキッチリと整えたスーツ姿の…あまり笑わない先生しか知らなかった。
今目の前にいる大人の女の人は、下半身はピッタリとしたパンツルックで、上半身は肩が少し見える柔らかそうなサマーニットにふんわりと髪が乗っている。全体的に白をベースにしたその姿は、清潔でしなやかさ、柔らかさを湛える女体を連想させた。
そして、鮮やかな笑顔。
顔貌は変わらないのにまるで別人のようで、少年は一瞬立ち尽くす。
「?どうしたの?入りなさい。」
「は、はい!失礼します。」
ぎこちない返事を返し、魔女の家に入った。

見慣れない部屋に見慣れない家具…そして良い香りがした。
まるで別な世界に迷い混んだようで、少年はドキドキした。

「何か飲む?麦茶、ミルク、マンゴージュースならあるのだけれど。」
少年を座らせて声を掛けるが、返事がなかった。
女性教諭が改めて少年の表情を確認する。
クスッと魔女は笑った。
「…始めよっか。」
そう告げると、立ち上がって遮光カーテンを閉じた。