女性刑務所 定員超過解消へ 男性用を改修して受け入れ
2017.2.18 20:03
http://www.sankei.com/smp/west/news/170218/wst1702180061-s1.html

 かねて収容率の高さが問題となっていた全国の女性刑務所で、
定員超過が恒常的に解消される見通しになったことが18日、分かった。今年1月から、愛知県の男性用施設で新たに女性受刑者の受け入れが始まったためだ。
もともと受け皿が少なかった女性用の矯正施設は、受刑者数の高止まり傾向を反映して近年は高収容率が常態化し、
生活環境や更生支援への悪影響が懸念されていた。
専門家は「再犯率の低下にもつながるのではないか」と評価している。

 女性刑務所はこれまで全国に10カ所あり、昨年12月時点で3800人の受刑者を収容していた。
法務省は安定した施設運用の目安を収容率80%としているが、同時点では8施設でこれをオーバーし、全国平均も85・8%だった。
このうち麓刑務所(佐賀県鳥栖市)は101・7%と定員を超過、栃木刑務所(栃木県栃木市)も100%に達していた。

 女性の場合は男性の処遇と違って原則、罪種などで刑務所の振り分けをしておらず、
出所後の帰住地などを考慮して収容しており、地域による偏りもあった。

 定員を超過すると、たとえば6人部屋に7、8人を入れることになるが、受刑者のストレスがたまりやすくトラブルの原因になるほか、
刑務官1人当たりの対応人数が増え、業務上の負担が増えるという問題があった。

 一方で刑務所の新設は地元の理解を得るのが難しく予算上の制約もあるため、法務省は男性用刑務所の女性用への切り替えを推進。
近年では松山刑務所西条刑務支所(愛媛県西条市)が平成26年、四国で初めての女性用として改修された。

 今年1月からは従来、男性専用だった名古屋刑務所豊橋刑務支所(愛知県豊橋市)で女性受刑者の受け入れがスタート。
男性受刑者の割合を徐々に減らしていくとともに、トイレや風呂の改修を進めている。
現在入所する女性は1人のみだが、30年7月をめどに定員260人程度の完全な女性専用の刑務所となる予定。
法務省は豊橋での施設運用が始まったことを受け、移送などを含めた収容者の配置の見直しを検討するとみられ、
すべての女性刑務所で収容率80%未満を目指すとしている。