(伏していた顔を上げる)
(おそらくはと予期していた名でもある)
(絶対嫌だと断りたい、)
(が、王やばあやの耳に入ればこっぴどく叱られるだろうことも容易く予想できた)

…どうぞ。お入りになって。
(膝を抱えて座り込んでいる寝台から、気の乗らない声で返答を返した)

(なるほど竜討伐を果たすだけあって立派な体躯の騎士である)
(でも、エルフじゃない)
(私たちの一族じゃ、ない)
(なんとはなしに警戒心は解けず、きゅっと、気まずそうに整った眉を寄せて)