(今日は居残り練習の日、コーチに呼び出され誰もいない体育館でマットや手具を出し並べる)
(カラフルなリボンは夏の大会の本番仕様のレインボーだが、心はすっかり沈んでいて)
個人戦、リボンとフープか……
この大会で実績を残さないと学校の連勝記録が私のせいで途絶えてしまう
それに、大学への推薦もかかっている大会
どうしてもベスト4には残らないと

(しっかり記録は残しているものの、芸術点が入る競技なだけにスタイルには気をつけていて)
(神経質なほどの食事制限で思考が誰かの言いなりで自分のものでは無い時まであることに気づいていない)

コーチに渡されたこのレオタード、下にファンデーションを着けず着てこいって言われたけど
やっぱり身体にみっともない肉が着いたから…なのかな
どうしよう、個人戦に出場できなかったら…、1年生にこのポジション奪われたら…
(コーチから手渡されたピンクの薄い生地のレオタードは、乳首も剃りこんだ淡い下腹部の茂みも透けていて)
(さや本人はコーチからの圧のかかった脅しめいた言葉で、すっかり崩れた身体のラインを矯正するためと信じていて)

うっ、でもこんなに見えてるの恥ずかしいな
ああでも審査員には骨格から全部の動きを審査されるって言われたし……
(まだ高二なので男性経験もなく、初めて身につけた透けるレオタードが恥ずかしく、長めの部Tを着てコーチを待っている)
(マットの上で真面目に柔軟体操をしている姿は遠目にはTシャツで練習するいつもの姿に見える)


【コーチ、改めてよろしくお願いします】