こうして全国的にバスタオル巻きが普及、定着すると、やがて新たな問題、改善点が出てきます。
それは、バスタオル巻きはどうしても着替え中に落下しやすいという点です。
これは特に思春期の女子にとっては切実な悩みだった模様で、ラップタオルの原型となる、家庭手作りのマント式タオル等が母親の協力で編み出されました。
ここで興味深いのは、母親がまだ子供だからと突き放すのではなく、手作りタオルの制作に協力的だった点です。
おそらくですが、母親は自身の小学生当時に、全く同じ体験をしていたのではないでしょうか。
昭和30年代から全国的に広まったプール授業はその頃、二世代目に差し掛かっていました。
マント式やファスナー式、あるいはマジックテープを利用するなど、各家庭毎に様々なアイデアを取り入れた、バスタオル落下防止のための自作タオルが制作されましたが、
昭和50年代も後半に入り、現在のラップタオルが市販化されると、またたく間に大ヒット商品となり、全国の小中学生に行き渡ることとなりました。

今現在においては、かつてラップタオルを体験した世代が親の年齢に達しており、成人用のラップタオルも市販されているなど、成人女性がスポーツクラブ等で使用する例が見受けられます。