40代〜
行くあてもなく数日で家に戻って来るが、母親に会わせる顔もなく、ついに完全に部屋に引き篭もる。
いつしか母親も年を取り、毎日寝たきりとなる。しかし介護もせずに放置する。
母はうわ言の様に、 もはや生まれる可能性もない孫の顔を早く見たいと話すが、それを聞く度に憎しみを覚える。
母親の医療費と生活費で貯蓄も消え、修繕費も払えなくなった実家は、もはや廃屋同然。
何十年も前の型のPCで繋がっているネットで、無残な現実から逃避する。

50代〜
母親は遠い昔にこの世を去った。今では電気も水道も動かない。
この廃屋を売ろうかとも考えるが、 売り方も分らず、売れるとも思えない。
貯金はもうなく、最後の時が迫ってきているのを感じる。 自分の人生は何だったのか。
街を歩くと、自分と同年代の人が孫と散歩しているのを良く見掛ける。
それに対して自分にはもう誰もいない、死んでも誰も気にしない。孤独と絶望。

終末   :死後数年経って発見。共同墓地で無縁仏となる。