妹よ
今夜は雨が降っていて
お前のやをい本が読めない
お前はいつも大事にやをい原稿をかかえて
学校へ通っていたね
暗い家の中でもお前は
やをい原稿をいっしょう懸命かいていたね
そしてよくこういったね
「早く表紙が赤や青や黄色のフルカラーになるといいな」
あんなにいやがっていた戦争が
お前とやをい本を焼いてしまった

妹よ
お前が地上でやをい原稿がかけなくなり
星の中でかき始めてから
まもなく表紙はフルカラーになったのだよ
私のほかに誰も知らないけれど

妹よ
今夜は雨が降っていて
お前のやをい本が読めない