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モララーのビデオ棚in801板70 [転載禁止]©bbspink.com
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0001風と木の名無しさん2015/03/21(土) 00:47:57.89ID:XIDHVl0F0
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  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
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  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

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   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板69
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/801/1356178299/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
0243風と木の名無しさん2016/10/16(日) 16:06:17.48ID:7MEQJTfp0
スマホで見た時フォントと改行がおかしくて、てっきり仕様が変更されたのかと思ったけどそういうことか
ご報告感謝です!
0244風と木の名無しさん2016/10/16(日) 17:24:30.63ID:ANqLyT8J0
ほとんど昇天知らないんだけど
ここの昇天の話とても楽しみにしてる
どれも引き込まれる文の美しさ
0245風と木の名無しさん2016/10/16(日) 17:41:47.63ID:7MEQJTfp0
>>244
つべ等に萌え動画転がっているのでぜひ見てほしい
緑は置屋育ちで遊女に可愛がられて育ったというそれなんてBLな出自だったりする

スレチすまん
0246風と木の名無しさん2016/10/17(月) 08:06:41.42ID:4/S/ZVoM0
保管庫の枠全部直してくれた方ありがとうございます

>>244,245
昇天専スレあるよ
0247風と木の名無しさん2016/10/17(月) 09:24:42.85ID:iYXepRho0
保管庫修正してくださった方、自作を保管してくださった方、ありがとうございます!
0249オぺ了ビPC 学×戦2016/10/22(土) 20:42:12.96ID:5UE5Znvx0
・エロシーンあり。というかエロメイン。挿入には至らないですが結構じっくり描写してます。

・オぺレ一ショソアビスのプレイヤーキャラがいやらしいことしてみる話。学×戦(×学?)。

・受けのみならず攻めも声出してよがってたりします。

・行為中の喋り方が、人によってはみちくら語っぽいと思われそうなものになっちゃってます。

・季節にあった話ではありません。しかし、風景描写はあまり気にしなくてもよさそうな程度だと判断したので、投下しました。

それでもOKな方はどうぞ。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0250オぺ了ビPC 学×戦 前編 (1/5)2016/10/22(土) 20:44:06.07ID:5UE5Znvx0
「君、勃ってるだろ?」

八ヤトが、こんな台詞を口にしたのは、二人の時間に余裕ができていたある日、家に招かれていたときのことだった。

「……え?」
「勃ってるだろ。……ここが」
「な……っ」

八ヤトとク口ウは、仲の良い先輩後輩の関係であるが、それと同時に、男同士でありながら特別な感情を寄せ合う関係――恋人同士でもあるのだ。それゆえ二人きりのときは、ク口ウは先輩である八ヤトに対してタメ口を使っており、八ヤトもそれを容認している。
活発で率直で、運動の得意なク口ウと、冷静かつ穏和で、成績優秀な八ヤト。彼らはあべこべなようで気が合うところも多く、組織の隊員仲間となって以来、互いに補い合う関係から、いつしかそれ以上の気持ちを互いに持ち合うほどになったのである。
この関係を持ち始めて一ヶ月足らず。深く接触したとしてもディープキス程度だったが、二人ともこの距離感で満足しているものと思われていた。

しかし、よりによって、あまりそういったことに興味を持っていなさそうな八ヤトの方から話を切り出してきたため、ク口ウは思わず狼狽した。

「僕とキスしてて、興奮した?」
「……悪ぃかよ」
「抜いてあげようか?」
「はぁ!?」

事実、深いキスを交わした直後で興奮したク口ウの雄は、衣服の上からでも分かるほどに、熱を帯びて膨張してきていたのだ。
0251オぺ了ビPC 学×戦 前編 (2/5)2016/10/22(土) 20:45:39.89ID:5UE5Znvx0
「よ、止せよ!抜くくらい俺でもできるっての!」
「僕にされた方が嬉しいくせに」
「勝手に決めつけんなよ……っ、何あちこちいじってんだよ、退(ど)けよ……!」

耳元や首筋にも軽くキスを落としつつ、半ズボンの裾から手を入れ、太腿を撫でまわす。
ク口ウは八ヤトに怒声を浴びせながらも、体には少しずつ、悦びを感じ始めていた。

「せっかくだから、もっと色んなとこも刺激したくてね。……嫌なら、別にいいけど?」
「ぁ……」
「……ん?どうした?」
「ぅ……い、嫌じゃ、ねえよ……」
「嫌じゃないんだ?」

八ヤトは一旦手を止めるも、ク口ウは目を薄く潤ませ、顔を上気させ、こちらをじっと見つめている。
もどかしげなその様子にさらに興奮し、見つめ返しながら、誘っていく。

「……あぁ、そうだよっ。だから、その……早く、続けてくれよ……」
「ふふ……、君は本当に可愛いね。大丈夫、挿れたりはしないから」
「んぁ……、あのさ」
「ん?」
「お前も、い、いやらしいこととか、興味あったんだな……」
「そりゃあ僕だって、育ち盛りの男なんだから、こういう欲求くらい当然持ってるよ。……まったく、こんな服の着方なんてして、誘ってるの?」
「うう、うるせえ!そんなんじゃねえよ!」

再び八ヤトは刺激を与え始める。
ク口ウは普段から、制服をシャツをはだけさせるなどして着崩しているのだが、このような状況下であるのをいいことに、八ヤトはさりげなくそれを揶揄した。
0252オぺ了ビPC 学×戦 前編 (3/5)2016/10/22(土) 20:47:03.15ID:5UE5Znvx0
「はいはい。……ともかく、もっとよく体見せてよ」
「あ……!」

ネクタイをほどき、ワイシャツのボタンを外し、ク口ウの活き活きとした上半身を露わにする。八ヤトは目を見張った。

「いい体だ……、やっぱり君みたいな男は違うね」
「へへ、まあな」
「ほんと、そそられる」
「……んぅ……」
「あまり動くなよ。ここもいっぱいいじりたいし」
「んぁ、胸……恥ずかしい……」

早速体を撫でまわしていれば、ク口ウは微かな声を漏らして身を捩る。やがて胸の突起をもこねくり回しつつ、ふとその顔を見やると、力強かった目つきが、徐々に恍惚としたものになってきているのが分かった。

それを確認すると、八ヤトは、もう片方にその手を遣り、先ほどまでの箇所には口で吸いつき、音を立てて舐めまわしはじめた。

「……ん、ふぅ……」
「んん……、なんか、変……ぁ……」
「っは……感度いいね。本当に初めてなの?」
「んぁ、は、初めてだよっ……んぅ、お前が、そんなに焦らしてくるから……はぁ、んん……」
「気持ちよくなってくれるのは、こちらとしても嬉しいよ……そろそろ、ここにもしてあげようか」
0253オぺ了ビPC 学×戦 前編 (4/5)2016/10/22(土) 20:49:20.38ID:5UE5Znvx0
すっかり大人しくなったク口ウ。八ヤトは愈々、そのズボンのベルトに手をかけ、寛げていく。息をのむ声が聞こえた。
そうして露になったク口ウの雄は、血液を滾らせ、物欲しげに怒張していた。

つぅ、と指先で下から撫ぜると、ク口ウは自分でも驚くような甘い声を漏らした。

「ぁん……!、ここ、もっと、してくれよ……頼むよ……」
「分かってるさ。辛かっただろ?……すごく気持ちよさそうだよ。本当に可愛い」
「あ、んんっ……八ヤトぉ……!」

手で包み込むようにゆっくりと扱いていると、ク口ウの雄はびくびくと脈打ち、溢れる先走りに濡れていく。
涙を流して息を荒げるク口ウに、八ヤトは嬉しく思った。

そして雄を扱いたまま、胸に顔を寄せ、再び突起を舌先でくちゅくちゅとねぶりだした。

「あぁ……っ……」
「ん、ふは……、ク口ウ……んん……」
「な、八ヤト……、お前も、んはぁっ、気持ちいい、のか?」
「んっ……うん、そうだよ。嬉しいし、興奮してるから……はぁ、んむ……」
「あぁん!何、すんだよ……!」
「……可愛いよ、ク口ウ」

八ヤトが突起を甘噛みして吸ってやると、二重に与えられている快感が強まったからか、ク口ウは身をびくりと震わせ、また嬌声を上げる。
八ヤトは興奮を募らせつつも、おもむろに口を離し、手を止め、数秒ほど躊躇った後――ク口ウの雄にむしゃぶりついた。
0254オぺ了ビPC 学×戦 前編 (5/5)2016/10/22(土) 20:51:51.77ID:5UE5Znvx0
「ぅあっ……!?お、おい!どこ舐めてんだよ、ぁ、よ、止せよっ」
「駄目。舐めてるとこ、ちゃんと見てて……んん、っふ……」
「で、でも、汚ぇだろうが!ふぁ、あっ……」
「んふぁ……、汚いなんて、思わないよ……ク口ウのこれ、口の中で、ピクピクしてて……、んっはっ、僕の口も、気持ちよくなりそうっ!……ん、んぅっ……!」
「はぁ……っ、ぁ、ぁあん、そんな、こと、言うなってぇ……!」

否定の言葉を口にするが、嬌声を抑えようともしなくなっているが故に、まったく意味をなさない。
八ヤトは、自ら言及しているように、ク口ウの反応を口にも感じながら、唇と舌とで雄をねぶりまわした。

「んむ……ふはぁ……」
「あっあぁっ、そこはぁ……!」
「はぁっ、こうすると、どう?……気持ちいい?……は、んん……」
「ぁ、ぁ……気持ちぃ……」
「いっぱい感じてくれてるね、嬉しいよ……ん、ふぅ、ク口ウのこんなとこ、見られるのは、っは、僕だけだから、んぅぅ……、安心して?」
「ぅ、お、俺もっ!こんなこと、許すのは、ぁん、八ヤト、だけだからぁ、あ、はぁあぅ……!」

裏筋を舐められ、素直な言葉が口をついて出る。
上気し蕩けきった表情で、切なげなまなざしを向けてくる様は、たまらなく淫らで愛おしかった。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

長いので続きは明日にでも。
0255オぺ了ビPC 学×戦 後編 (1/5)2016/10/23(日) 13:08:32.26ID:ZQOCjvcc0
続きです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


そろそろ限界が近いようだ。八ヤトはむちゅむちゅと音を立てて、口で勢いよくピストンし、本格的にク口ウを絶頂へと導く。

「んっ、んぅっ、っふ、んんっ、んむっ、んっ、んっ、んっ……!」
「あぁっ、あぁ……!八ヤトぉ、もう、出る、本当に、出るぅっ!」
「ん、いいよ、ク口ウ……くひに、らひて……っふ、んん!」

「ああぁぅ……!!ぁ、っはぁぁ……」

嬉しい悲鳴を上げ、体を仰け反らせ、ク口ウはついに絶頂を迎える。――そうして八ヤトの口内に、熱いしぶきをびゅるびゅると注ぎ込んだ。

「はぁ……はぁ……」
「ん、んぐ……ごくっ……、っは、げほ、ごほっ……はぁっ……」
「……八ヤトお前、飲んだのか?その、俺の出したやつ」
「うん、いっぱい出てたよ。……でも、飲み込むのはさすがにちょっときつかったな」
「無茶しやがって……つーかさ」
「ん?」
「……俺のこんな恥ずかしい姿見といて、お前、どうともならなかったのかよ」
「まさか。そんなはずないじゃないか」
0256オぺ了ビPC 学×戦 後編 (2/5)2016/10/23(日) 13:11:11.14ID:ZQOCjvcc0
そう言うと八ヤトは立ち上がり、前を寛げ、がちがちに屹立した自らの雄を露にした。

「……うわ」
「ほら……君のおかげで、こんなに興奮したんだよ。口でも、手でもいいから……、僕のことも、気持ちよくして?」

上の方に視線を移せば、そこには初めて見る八ヤトの顔があった。
興奮と羞恥で紅潮し、目は涙に潤み、情欲のこもった視線をク口ウの両の目に打ちつけている。
一刻も早く刺激が欲しい、という期待が手に取るように分かった。

再び羞恥を感じながらも、ク口ウは慎重に、八ヤトの雄を刺激し始めた。

「ぁ……んん……」
「……凄え。ビクビク震えてるぞ」
「うん……もっと強くして、いいよ……?」
「おう……こんな感じ、か?」
「ふああっ……!、いい、いいよぉ、ク口ウ……っ」

恥などとうに捨てたのだろうか、八ヤトは歓喜の声を上げ、快感を貪り始める。
扱いているうちに気分が乗ってきたのか、ク口ウはお返しもかねて、八ヤトの雄を思い切って咥え込んだ。
0257オぺ了ビPC 学×戦 後編 (3/5)2016/10/23(日) 13:12:29.80ID:ZQOCjvcc0
「は……んんっ……!」
「あ、口でっ……歯はなるべく立てないで……うん、そう」
「んぅ、分かった……んむっ、ふぅぅ……」
「んぁ、はぁ、はぁぁっ……可愛い……、ク口ウ、可愛いよ……」
「んふぁ……そんな、じろじろ見んなよ……はんっ、俺今すっげー、恥ずかしい顔してる……んんっ、んっ」
「ふふ……、僕の様子をしっかり見といて、んっ、自分は見られたくないなんて言うのは、感心しないな……んっはっ、こんなに、色っぽいじゃないか……っはぁ、ぅぅ……!」

真っ赤な顔を涙に濡らしつつ、ぬぷぬぷと、懸命に刺激を送りこむク口ウ。その頭を、八ヤトは愛おし気に撫でる。
比較的口数が多く、よく意見をしたり、ク口ウを含む仲間たちに励ましをくれたりもする八ヤトは、やはりこのような場面でも、思い感じたことが、次から次へと言葉に出ていた。
そんな八ヤトの有様に、ク口ウはまた羞恥を煽られながらも、悦ぶ八ヤトを見て内心嬉しく思っていた。

「はぁっ、ん、あぁ……っ、気持ちぃ、あっ、僕、ク口ウの、口の中で、気持ちよくなってるよぉ……」
「へへ、恥ずかしいことばっか、言いやがって……そんなにいいのかよ……んむっ、ん、んっ……」
「ぁああっ!ふ、袋の、とこまで、撫でてくれるの?ぁ、あん」
「んん、っく、ふぅっ……!」

ク口ウは八ヤトの雄を深く咥え込み、片方の手でその後ろの袋を優しく撫でまわすと、八ヤトはさらに淫らに叫びだした。ク口ウの口内で滲む先走りの量をより一層増させ、だらだらと垂れ流す。

「ああぁ、いい……!ク口ウ、分かる?口の中で、どんどん熱くなって、ぁん、ビクビクしてるよぉ!」
「んむ、ぅん!ひゅげえ、きもひよさそぉ……っ」
「うん、ク口ウにいっぱいされて……本当に気持ちいいっ……!」
「俺も、くひんらか、きもひぃ……っ、しゃっきのおまえと、いっひょらな……」
「はあ、ぅ……うん、一緒だねっ、あ、あぁん……!」
0258オぺ了ビPC 学×戦 後編 (4/5)2016/10/23(日) 13:13:47.56ID:ZQOCjvcc0
悦びを分かち合い、愛を確かめ合う。

さらにク口ウは、袋を撫ぜる手もそのままに、今度は八ヤトの裏筋を舐め上げだした。

「ぁああん!だめ、だめだよぉっ!、裏のとこ、そんなに舐めたら、あっああっ、出る、出るうぅ!」
「んふあぁ、はぁぁ、んっはぁ……っ、いいぜ……、思いっ切り、っはぁ、んん、ぶちまけて、くれよ……!」
「あぁぁ……、ク口ウ……っ!」
「八ヤトぉ……!」

「ああんっ!!……はぁぁ、んっ、ぁぁぁ……」

ひときわ大きな嬌声を発し、八ヤトも果てた。――ク口ウの顔の上に、己の喜びをまき散らして。
0259オぺ了ビPC 学×戦 後編 (5/5)2016/10/23(日) 13:15:06.50ID:ZQOCjvcc0
「なぁ、一つ、聞いてもいいか?」
「ん、なんだ?」

行為を終え、二人は風呂に入ることにした。
入浴中、ふと、ク口ウは八ヤトに問う。

「さっきのアレは一体何なんだよ!」
「アレって?」
「そのほら……っ、ぁ、喘ぎながら、いろいろ変なこと喋ってただろ!なんか、その……き、『気持ちよくなってるよぉ〜』とか!」
「ああ、アレか……、すまない。興奮して、感情がどんどん言葉とかに出てしまったよ。しかも君以上に喘ぐなんて……はぁ、今思い出しても恥ずかしい」

うな垂れる八ヤト。ク口ウは、先ほどの行為のことを思い返して、顔から火が出るような思いをしつつ、意外に思っていた。
惜しげもなく自分をリードしていた八ヤトが、先ほどの言動をここまで恥じらっていたとは。そう考えると、少し微笑ましい気もした。

「口調も柔くなってたよな……まあでも、その……、た、楽しかったぞ!?」
「そうだね……こんなに楽しいとは思ってなかったよ。ありがとう」
「ん。……あ……ありがと、な……」

かと思えばすぐにいつもの調子に戻り、礼まで言われ、ク口ウは顔をさらに紅潮させて頷いた。

「うん。恥ずかしかったけど、いい経験だったよね。もう二学期も近いし、こんなことはなかなかできないと思う」
「二学期か……忙しくなりそうだよな。いろいろと」

これからを案じ苦笑しつつ、寄り添う二人。

さて、そのときには、二人とその仲間たちは、忙しいという程度では済まない事態に直面する羽目になるのだが、それはまた別のお話。
0260オぺ了ビPC 学×戦 筆者から2016/10/23(日) 13:16:13.63ID:ZQOCjvcc0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

以上です。お粗末様でした。
これオぺ了ビでやる意味あったんだろうか……とも思いましたが、この二人にちゅっちゅにゃんにゃんして頂きたいという気持ちが高じて、投下するに至った次第です。
ツッコミどころ満載な話ですが、ここまで読んでくれた方々、お疲れ様でした。そして誠にありがとうございます。
ではこれにて失礼いたしました。
0261※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」2016/10/24(月) 20:23:58.07ID:pnhWcKLf0
※ナマモノ注意、枯れ専注意
昇天の紫緑です。
時系列は218〜の「地獄雨でもどこまでも」と234〜の「語るも夢」の間です。
コエンユさんも登場しますが、筆者自身コエンユさんのことをよく知らないので、もし誤りがあったら申し訳ないです……。



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0262※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」1/52016/10/24(月) 20:25:31.72ID:pnhWcKLf0
 座敷で足をくつろげているというのに天井は見当たらず、生ぬるい真っ黒な雨が絶え間無くぼとぼとと降りしきり、懐かしい顔の差し出した茶わんにも容赦なく入り込んだ。
 その中身は酒なのか、水なのか。不思議なことに、墨汁のような雫がぽちゃぽちゃと小さな水面を打っても、濁ることなく澄み切ったままだった。

 「ようハゲ、元気か?」
 「なんだい、油すましの知り合いなんざいねえよ」
 「そんな冷てえこと言わねえで、どうだ1杯やらねえか?」
 「あたしが下戸だって知ってんだろ?」
 「いいじゃねえかよ。再会を祝して、ほら!」
 「やめとくれよ。猫の茶碗じゃあるめえし、そんな小汚いの使えねえよ」
 「つれないねえ、やっと会えたってのに」
 「冗談じゃないよお。あたしはまだまだやらなきゃいけないことが山積みなんだ……」

 16でひとりぼっちになった。24の時に赤線の灯が消え、故郷の景色がガラリと変わった。
 「落語に専心なさい」という神のお告げかと思ったが、自分はわがままだった。早く家庭を持ちたい。TVが台頭したせいで閑古鳥の鳴く寄席だけでは食えない。人気だけではなく実力も伴わなければ満足できない。
 何事も手中に収めなければ気のすまない性分の世間知らずに、じっと堪えて寄り添ってくれた家族には一生頭が上がらない。女のあれこれがわからない分、困らないだけの銭を死ぬまで稼いでくるのが責任だと思った。
 女遊びは芸の肥やしとよく言うが、結婚してからは律儀に義理立てしていた。酒が飲めないおかげで、遊びの場に誘われる機会も減っていった。
 しかし今、自分は確かに、目の前の男を欲している。
0263※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」2/52016/10/24(月) 20:29:55.11ID:pnhWcKLf0
 「師匠、おかげんはいかがですか?」
 「……ゼンマイ仕掛けの気分さ」

 やたら小難しい名前の病気の手術が決まった時、男は持ち前の要領の良さと知性を駆使して専門書を読み漁り、わかりよい言葉で「師匠の病気はこういうもので、こういった手術が必要らしいですが、心配することはありません」と説明してくれた。
 だがしかし、気が滅入るのはどうにも抑えられない。
 薬品の匂いと無数の病の重苦しさに囲まれながらきびきび動く白い制服の華奢な女性を見ていると、破門された直後のひもじい生活や、かつての華やかなりし生家の記憶がよみがえり、はて女というのはつくづくしぶとい生き物だと思い知りった。

 「さすりましょうか?」
 「すまないけど頼むよ」

 妻や医者や一門の者に吐けない弱音も、同じ舞台に立つ同士であればあけすけになれる。
 ほんのひと昔前までは見栄を張る余裕も少しばかり持ち合わせていたが、歳はとりたくないものだ。どれほど頭が回っても、口が達者なままでも、日に日に体は衰え、やわらかな申し出にまんまと身を預けてしまう。

 「こんなとこに物騒なもん埋め込んじまったんですね」
 「おっかないよ、体ん中に金属が入ってるなんて」

 楕円を描くように行き交う手の力強さに、ほどよく引き締まった腕の頼もしさを思い出し、そこはかとない羨ましさが芽生える。
0264※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」3/52016/10/24(月) 20:31:45.07ID:pnhWcKLf0
 こればかりは仕方ないが、噺の人物を演じるにあたって、自分の生白い手足では説得力の足りない場面もままある。啖呵を切ろうと袖をめくれば、棒っきれに似たつるつるの腕がぺろり。これにまやかしを施そうと、幾度も歌舞伎に通った。
 ボルトなんぞという無骨なものを入れた分、幾らかでもたくましくならないかと淡くばかばかしい期待も抱いたが、指先でおそるおそる触れたそれはひどく不気味で、いよいよ自分が自分のものでなくなるような、足元のおぼつかない恐怖心すらある。
 だが、男はそのいびつな丘陵の形を記憶するように、自らの体温を落とし込むように、ゆっくりと丁寧に撫でた。安堵感にため息をつくと、頰がほころんだことが背中越しの気配でわかる。

 「……細いですね」

 お二人が並ぶと画面が映えますから、という理由で横並びになってから随分経つ。
 なるほど、健康的な褐色の青年と、とち狂った水墨画のようにひょろりとした自分はあまりに対照的で、悪口雑言のやりとりと相まって派手に映り、番組以外でも共演の場が増えた。
 この男が手を握り返さなければ、旧友亡き後の道筋がどうなっていたかわからない。ことあるごとに目を細めて感謝を述べてくれるが、こちらだって礼を言わなければならない。女系家族ゆえにしばしば感じる居心地の悪さを霧散させてくれるのもありがたかった。
 息子というには近すぎて、弟と呼ぶには遠すぎて、後進と可愛がるのも憚れる。しかし、ある意味では誰よりも濃密な時間を分かち合ってきたこの男は、自分をどう捉えているのだろう。
 単なる色狂いなのか、異常なまでの物好きなのか。

 「……こっちに」
 「はい?」
0265※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」4/52016/10/24(月) 20:35:25.25ID:pnhWcKLf0
 ぐるりと体を反転させたので、腰を抱くような姿勢になった男は、きょとんとこちらを見つめている。瞳に映る自分はぼんやりとどこを見るでもなく、焦点の合わない目をしていた。
 病に倒れるのは初めてではないのに、喉や胸の奥がきゅうと締まるような心細さがこんなにも降り積もったことはない。手を伸ばすことすら億劫になり、目と声だけで訴える。
 今日は、今は、とことんだめだ。見飽きたはずの不味い面のせいで。

 「こっちにきとくれ」
 「……どうしたらいいんで?」
 「そばにいてくれたらいいんだよ」

 困り果てたように後ろ頭を掻くと、ベッドの下に膝立ちになって、痩せっぽちの体をぐいと抱きしめた。
 首筋に鼻先を擦り付ける姿勢になったが、噺家のくせに香水なんかつけやがってと文句を言う気も失せる。あらゆる不具合をごまかすような清潔さを拵えるための消毒液の匂いに、何日もの間閉口していたのだ。
 五臓六腑を染めるように香りを吸い込んで目をつむると、見慣れた舞台が瞼の裏にありありと浮かぶ。

 「なあに、嫌な夢みてね」
 「はあ」
 「全身麻酔ってのは眠りすぎるみたいだね、懐かしい奴がいたよ」
 「……お迎えには早すぎますね」

 女のようで女でなく、男であるのに男らしくないこの体を、男は女のように扱った。
 誰にも見せたことのない醜態を晒したというのに、屈辱よりも恥よりも情が遥かに勝り、誰にもやりたくないと血迷ってしまった。

 「不細工な顔にお似合いの不細工な茶碗に飲めもしねえ酒ついでよこしやがったからさ、尻尾巻いて逃げてきたよ」
 「そいつはよかった。あなたにとどめを刺すのは私ですからね」

 かつて置屋通いで身を滅ぼした男を何人も見てきたが、この男が絡んだ時の自分は、まるで遊女のようだと思う。一挙手一投足に目配せしながら呼吸を汲み取って、首尾よく返される反応のひとつひとつに恍惚を覚えてしまう。
 心の隅から隅まで糖蜜が注がれるような充足感は、高座でも家庭でも得られはしまい。
0266※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」5/52016/10/24(月) 20:36:22.97ID:pnhWcKLf0
 赤子をあやすようにトントンと背中を叩きながら、もう片方の手は肩甲骨から首にかけて痛いほどにぎゅうと抱き寄せられ、胸のすく思いがする。
 女になりたいと望んだことは一度もないが、こんな心持ちを味わえるならさぞかし贅沢な人生に違いないと、少しだけ嫉ましくもなる。

 「おお、怖や怖や」
 「……私をひとりにしないでください」

 ぽつりと落とされた一言に滲み出る切実さが愛しい。
 朋友の引退が決まり、席こそ離れてしまったが、対等な立場であることに変わりはない。鳴り物入りの優秀な新人もすぐに馴染んだことだし、きっとこれからも上手くいくだろう。
 にも関わらず、この男はいつまでもこめかみをじりじりと焼き切らんばかりのあの視線でもって容赦なく刺してくる。
 その度に頭と言わず体と言わず心と言わず、とかくすべてがひりひりと痛むのは、自分の中のどこかが女のそれにすっかり変わってしまったからなのかもしれない。
 これは不貞にあたろうか、もう顔も思い出せない親への不孝になろうか。それでもあたしはかまわない……。

 「お前はあたしと道連れだって、何度言ったらわかるんだい」
 「地獄の底までお伴しますよ」
 「おや、あたしは天国に昇るんだから、今のうちにせいぜい徳を積んどくんだね」
 「因業なじいさんだ」

 骨が砕けそうなほど腕に力が入って、神経の端から端まで火花が散った。年甲斐のない恥知らずな我が身を省みて口角が上がる。
 ああ、確かにこのまんまじゃ地獄に落ちても詮無いね。

 どうしたもんかね油すましよ、こいつが欲しくて堪らない。
 次に会えたらその茶わん酒をもひとつ余計にくれないか。
 この罰当たりな極悪人と差しつ差されつ飲みあかそう。
0267※生注意 昇天紫緑 「茶わん酒」2016/10/24(月) 20:37:55.81ID:pnhWcKLf0
おっと忘れてた

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

コメント書き込んでいただいた皆様、ありがとうございます!
0268風と木の名無しさん2016/10/25(火) 23:11:04.56ID:s9d1LWJJ0
>>241
更新されるのを見る度に胸が踊ります。
美しくて粋で、しかも的確に萌えを突いてくるw文章。本当に大好きです!
0269※生注意 昇天紫緑 「他人の花」1/52016/11/03(木) 22:10:04.36ID:FwOD46K10
※ナマモノ注意、枯れ専注意
昇天の紫緑です。
時系列は紫が馬さんの鞄持ちから前座見習いになったかならないくらいで……。
冒頭の人はコエンユさんのつもりです。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0270※生注意 昇天紫緑 「他人の花」2/52016/11/03(木) 22:11:48.16ID:FwOD46K10
 「……師匠?」

 諌めるつもりは微塵もなかった。ただ単純に驚きを隠せず、思わず声が出てしまった。

 「……ああ、ああ、お前さんかい」

 場数を踏んだ師匠方のこと、狼狽の色はさすがに隠しきれなかったが、すぐさまいたずらを窘められた子どものような顔を作って、さもなんでも御座いませんといわんばかりに立て板に水の弁明をまくし立てる……。
 と、思いきや。

 「いやね、こいつ育ちが育ちだからいやにこう……いろっぺえ時があってさ。俺は男好きじゃねえぞ?」

 あまった襟首から覗く、うなじから首筋にかけての線を舐めるように熟視していたとあっては、言い訳のしようもないのだろうか。少なくとも毎週あれほど番組で鍛錬しているはずだが、つくづく煩悩は罪深い。

 「師匠は細いですよね」
 「知ってるか?目方が50越えたことねえんだとよ」

 それ自体は初耳だったが、その出自は有名だった。女郎屋を営む家庭に生まれ育ち、必然的に夜型の生活になってしまったとか。
 妻子持ちとなっても慣習が改められることはなく、夜一食とせいぜい昼に少しばかりつまむ程度で、偏食も激しいとか。
 従って朝は弱く、仕事の時間が早い時は前もって楽屋で仮眠をとっているとか。

 「女と化粧でしたか、あれは大変素晴らしかったですね」
 「ぞっとするぜ、うちのかかあもあんなもんだからな」

 先達はさておいて、同年代の噺家と廓話の巧拙を比べると、この人に敵う者はいないだろうと常々感嘆する。大仰な言い方をすれば、白い痩躯や手首の返し方、指先の角度まで、そのすべてが噺の中の女性を演じるために用意されたのではないかと疑うほどに。
 遊女の化粧を再現しただけという余芸ですら、寄席の時間調整やテレビ向けの芸として軽んじられることが歯がゆいほどの完成度で、何度見ても陶酔してしまう。当の本人は、自分は歌も踊りも出来ないし、小道具も使わなくていいから楽だと嘯いてはいるが。
0271※生注意 昇天紫緑 「他人の花」3/52016/11/03(木) 22:13:08.18ID:FwOD46K10
 「そうそう、プロデューサーがお呼びです」
 「なんだい、早く言えよ」
 「すみません」

 ふん、と鼻を鳴らして慌ただしく出て行った背中が見えなくなるのを認めてから、楽屋に鍵をかけた。
 並べた座布団の上で、あの芸の締めにっこりと笑った愛らしい女性がこの小さく細い体の中に本当に在るのかと、疑問符が浮かぶほど寛げた寝相に苦笑いする。

 「師匠、師匠」

 穏やかな寝息を立てる横顔に小声で呼びかけたが、起き上がる気配はない。

 (このどこに、あの人が)

 この際、自分のことはとことん棚に上げようと、腹をくくった。
 襟下をそっとめくるとなだらかな傾斜があり、白さと細さに震えながら、膝頭の横、関節とふくらはぎのあわいに唇を寄せ、五感を研ぎ澄ますように目を閉じた。
 柔らかくもなければ肌も薄く、青白い弓のような骨に口付けているような気分で、頭のどこかで滑稽さを感じているのに、下腹部がずんと重くなる。
 錆びついた鉄の塊のように鈍い身体を無理やり開かせて、内側に舌を這わせる。先端から中ほどを湾曲させて、なんともささやかな柔らかさに神経を集め、永遠にもよく似た時間をかけて下りる。
 この熱が伝たわって、この皮膚がとけてしまったらどう取り繕おうかと、ばかばかしい懸念がよぎるほどには余裕がなかった。
 ああ、あの女の人はどこにもいない。俺は今、一心不乱に男の足を舐め回している。
 どうか、どうか今だけは目覚めてくれるなと、耳鳴りがしそうなほど早鐘を打つ心臓に焦りながら、しかし理性の垣根は情けないくらいに脆く、犬のようにむしゃぶりつづけた。
 くるぶしの丸みにたどり着き、足首を舌先の尖りでなぞったところで、わずかに身をよじったので思わず後ずさる。無色の糸が一瞬白く光って消えた。
 しかし、その柳のような体躯は仰向けから横に姿勢を変えただけで、目を開ける気配はなかった。

 荒い呼吸を整えて、斜め読みした講義の参考文献を頭の中でめくると、沸騰する寸前だった熱がすうっと冷めてゆく。
 最早ここまでといさぎよく諦めて、頼りない肩を揺さぶった。

 「師匠、起きてください」
 「んん……」
 「プロデューサーがお呼びです」
 「……よう、インテリ与太郎」
0272※生注意 昇天紫緑 「他人の花」4/52016/11/03(木) 22:15:00.22ID:FwOD46K10
 テレビで聴くのとはまた違う、スッと伸びた声は、朝方の水仙を思わせた。

 「ひどい言われようですね」
 「いいとこの大学通ってる秀才が道踏み外したって評判だよ」

 当たらずも遠からずといったところか。軽い気持ちで始めた鞄持ちのバイトのつもりが、ついぞギャラと呼べるものも貰えないまま、弟子入りの運びとなったのだから。
 いい加減な性格と反比例した小言の多さに気づいたのは入門してからだが、空疎な学生運動では決して見つかることのなかった生きがいを与えてくれたのも確かな話だ。

 「私はユートピアを見つけたんです」
 「横文字じゃわかんねえよ」
 「理想郷なんです。落語の……笑いの世界は」

 およそ地に足をつけているとは言い難い生き方を呆れる者も多かったが、客の笑いがあれば快哉を叫びたくなる。ユリイカとはかくやと、偉人と自分自身をまさか並べ立てるわけにもいかないが。

 「おお、いいこと言うねえ」

 多くの聞き手が「小難しいことはわかんねえよ」と片手を振って打ち切る理想論に、その人は目を見開いて興味津々といった風に笑う。
 ちゃぶ台のピース缶を開け、くわえ煙草にマッチで火をつける無造作な仕草は、目がさめるほど鮮やかで、あの女性が住んでいることを奇麗に忘れ去ってしまいそうだった。

 「あたしもね、一度でいいから江戸の暮らしってもんを味わってみたいんだ。はっつぁん、熊さん、ご隠居って世界でさ。バカみたいなことやって、勝手気ままに生きて」

 我が意を得たり、というにはほど遠いかもしれない。
 冗談めかして話してはいるが、戦禍に巻き込まれた人々にとって、落語という数少ない娯楽はどれほどの希望だっただろう。荒れ野と化した故郷、国の大掛かりなだまし討ちのなかで、人情とユーモアに溢れた時代への逃避行を思い描いただろう。
 自分はきっと甘い。たった今この瞬間、この人とそんな淡い思いを分かち合ったというだけで、本懐に指先がふれたような気がしたのだから。
0273※生注意 昇天紫緑 「他人の花」5/52016/11/03(木) 22:18:15.62ID:FwOD46K10
 「その時にはお供しますよ」
 「ははっ、いいねえ。長屋で一緒に暮らすかい?」
 「私が家事全般やりますから、たくさん稼いできてください」
 「うちの女房みたいなこといいやがって……。ああ、そろそろ行かねえとな」

 名残惜しそうに火を消すと、立ち上がって共襟を整え始めたので、背中に回ってへたりこんでいた襟口をぴんと伸ばした。細長い首の奥に陰が生まれる。

 「よくできた弟子だね。お前の師匠がうらやましいよ」
 「……ありがとうございます」

 みすぼらしい肩と、浮き上がる骨の丸みに顔を埋めて眉間や鼻先をこすりつけてしまいたいと血迷っている自分を、本当にこの人は欲してくれるだろうか。
 いっそタバコのタールに生まれ変わって、この体の内側にすがりつきたいと思い謝っている自分を、師匠は見捨てることなく側に置いてくれるだろうか。
 これ以上理性の箍を引きちぎられそうな思いに蝕まれるならば、いっそのこと目の前の他人様の花を、気の向くままに手折ってしまいたい。

 「早く上がってこいよ。待っててやるから」
 「頑張ります」

 くつくつと笑いながら流し目をよこしたその色香は、まぎれもなく男のもので、好青年の仮面をかぶるのをあやうく忘れるところだった。
 閉じたドアの向こうで雪駄の摩擦音が消えるのを待って、座布団の上に倒れ込んだ。

 (適わねえなあ……)

 あなたのなかの女にも、噺家としてのあなたにも、男としてのあなたにも、どうにもこうにも狂わされ、狂わされ、狂わされ……。

 (見てろよ、いつか必ず並んでやる)

 他人の花に情けをかけた己が運命を呪うより、身を粉にしてでもこの道行けばいつかは共に生きられよう。
 どうかその日、その時までは、その目その手を向けてくれ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 こちらや棚のまとめや専スレで感想書き込んでいただいた姐さんたち、本当にありがとうございます!
 この場をかりて御礼申し上げます!
0274風と木の名無しさん2016/11/05(土) 01:43:29.04ID:XDPxw15y0
>>273
今回も粋で素敵でした!
色々な年代の二人を書いてくださって、みるたびにときめきます。
ぜひぜひ、またお願いします!
0275風と木の名無しさん2016/11/13(日) 11:42:17.18ID:cE5P78170
>>214
亀レスすみません、もしや「難て火だ!」コンビでしょうか…!
空気感がまんまですごく萌えました!
0276※生注意 昇天紫緑 「渡る浮世」2016/11/14(月) 02:41:16.51ID:bRrUUuvM0
※ナマモノ注意、枯れ専注意
たびたびすみません、昇天の紫緑です。
時系列は緑が勇退を他の出演者に報告した今年の頭くらいで。
あんまりこちらに連投し続けるのも忍びないので、続きは支部かオフラインか、とにかく別の場所で発表しようと思います。
何とぞよろしくお願い申し上げます。



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0277※生注意 昇天紫緑 「渡る浮世」1/42016/11/14(月) 02:43:22.93ID:bRrUUuvM0
 医学書をめくるのが習慣になった。知人を伝って専門医にも訊いたが、相変わらず明るい文言は出てこない。
 なぜ服や手拭の貸し借りのように寿命や肉体の健全さをやり取りできないのだろうと、浅はかな想いばかりが募る。
後生だから、あんたの痛苦の半分だけ、俺に今すぐ寄越してくれ。

 「思い直しませんか?」

 ただでさえ病的な痩躯は限界までやせ細り、大仰でなく生きているのが不思議なくらいだったが、遠くへ行くなという医者の忠告を柳に風と受け流し、高座に指導に番組にと打ち込む姿にすっかり忘れていたのだ。
 万物に終わりはつき物で、この人もひとりの人間であるということを。

 「へっへっ。あんたはネタがなくなるからねえ」

 いつもは頼もしいはずの、骨ばった肩を震わせる姿が、今はとにかく痛々しくて、ストールを羽織らせながら正面に回った。好々爺然とした目の奥に、かすかな戸惑いが見え隠れする。

 「真面目な話です」
 「言った通りだよ、あたしだってよくよく考えたんだ。それこそ、スタッフの皆さんや協会の人とも何度もよおく話し合ってね」

 止められはしまい。ただでさえ大病を抱えた老体を引きずりながら東奔西走しているというのに。番組の顔として笑い、派閥の間をとりもつ仲裁役として振る舞い、ひとりの噺家として板の上に立ち続けるその裏でどれほどの苦悩を抱えているか、誰もが知っているのに。
 それをおくびにも出さないのは噺家としての矜持で、せめて楽屋だけでも本音を吐露してはくれまいかと思っていたが、当の本人は「暗い話をすれば卑屈になる。それはお客様にも伝わる」と冗談以外許してくれない。
 現に、自身の引き際を話して頭を下げた直後の張り詰めた空気も「つきましては今後上納金を……」と、おきまりのサゲでことごとく崩してしまった。
 隙のない手練手管でやり込められる清々しさも、あと半年も経たないうちに味わえなくなるのだ。
0278※生注意 昇天紫緑 「渡る浮世」2/42016/11/14(月) 02:44:46.80ID:bRrUUuvM0
 「……もうね、これ以上は無理なんだ」

 2人きりの今なら、きっと心もほぐれるのではないかと願っていた。そしてそれは珍しく、悲しいほどにいともたやすく成就された。
 車椅子のなかで小さな背中が崩れ落ちる。

 「迷惑はかけられないよ。やれ倒れただ、入院だって、司会や高座の代演をお願いして。ほうぼうに駆けずり回るみんなを見てちゃね」
 「誰も迷惑だなんて思ってません。師匠にいてほしいというのは、私たち全員の願いなんです。スタッフやお客さんだって」
 「……だからこそだよ」

 朽ちるのを待つ枝葉のような指が震えていた。懐から取り出した手ぬぐいに、灰色の水玉模様がぽつぽつと滲む。

 「みなさんが求める姿のままお別れしたいんだ。これ以上みっともなくなって、ますます人の手を借りるのはいたたまれない」

 この人の涙を見るのは何年ぶりだろう。収録で、地方の仕事で、私生活でもうんざりするほど共にあったというのに、いつ何時もため息の漏れるほど艶やかな所作や、片目を瞑って笑うくせしか思い出せない。
 あれほど充足した時間が、これからも訪れるだろうか。

 「これはあたしの我儘だから、本当に申し訳ないと思ってる。でもそうでもしないと、噺家だって辞めなきゃいけない」

 こと入退院を繰り返すここ数年は、よくもまあ飽きもせずぽんぽんぽんぽん病魔に取り憑かれますねえなどと軽口を叩きながらも、この人の存在をどれだけ多くの人間が待ち望んでいるか思い知らされた。
 この人の我儘は、裏を返せば国民の我儘といってもいい。いつまでも出たいと願えば、出演者も制作陣も喜んで走り回っただろう。少し休むと申しひらけば、客も身を案じながら素直に待つだろう。
 しかし、人の上に立つ器量を持ち合わせ持ちあわせるこの人は、何においても自分に厳しい。長生きしてください、元気でいてくださいというありのままの激励を優しく受け止める一方で、思い通りにならない我が身を呪っていた。
0279※生注意 昇天紫緑 「渡る浮世」3/42016/11/14(月) 02:45:57.44ID:bRrUUuvM0
 自分の手ぬぐいで光の乱れる目元を拭うと、ようやく顔があげられた。こんな状況にあっても言葉がつっかえることはなく、一度唇を閉じた後で、指先を頬に伸ばしてゆっくりと眦を下げる。

 「……お前さんはね、あたしの友で息子で仲間で、先代の忘れ形見なんだ。そんなあんたに、情けないとこ見せたくないんだ。どうか、かっこつけたままおさらばさせとくれよ」

 いつの日もその口跡は、淀むことのない川のようだ。耳も目もたちまちに奪われる。浮世のしがらみをすべて断ち切って、この人の口演の住人になりたいと願う思いが、カラカラと音を立てて回り続ける。
 俺は一体、この感情をなんと呼べばいいのだろう。

 「今生の別れみたいに言わないでください。何十年も前から、私は師匠とずっと一緒だって言ってるじゃないですか」
 「……そうなんだよ、自分でもわかってるんだ。二人会でもなんでも、あんたと一緒にやる機会はこれからだってたくさんあるはずなんだ。……なのに」

 高々と山積された研鑽の日々をそのまま杖にしたような気性だけでこれまで耐え忍んできたこの体には、愛想のいい芸妓も、口うるさい女房も、間抜けな与太郎も、情に厚いご隠居も、小言の多いじじいも住んでいる。
 50年近く前の出会いから、言葉を交わし、高座の姿を眺めるごとに、万華鏡のように姿形と色を変え、その度に心を奪われた。
 今さら、離れられようもない。

 「……すまないね、こんな顔するはずじゃなかったんだ。あんまり、思い出が多すぎて」
 「私だって同じです。師匠がいなければ、この番組でも、ひいては噺家としても、どうなっていたことか」

 頬に添えられた右手に自分の左手を重ねる。この熱が病魔を燃やし尽くして仕舞えばいいと、そしてこれから先も延々と求められるまま、求めるままにバカバカしいやりとりを演じ続けたいと、先ほど言い渡された決心を此の期に及んで受け止めきれない自分の弱さに驚いた。
0280※生注意 昇天紫緑 「渡る浮世」4/42016/11/14(月) 02:49:02.27ID:bRrUUuvM0
 「本当はね、少しだけ悩んだんだ。あたしとやりあうとなったら、周りからあいつと比べられちまうから。それでも堂々と噛み付いてくるあんたがかわいくて、あたしだって何度助けられたかわからないよ」

 差し出された厚意にまんまと甘えて、今は亡き好敵手の後釜に居座る形となり、同業者や客に「あんたじゃ代わりは務まらないよ」と散々揶揄された時代もある。
 その度にこの人は「そうかもしれませんねえ、おっ死んだオバケと性根の腐った腹黒じゃあ使い勝手が違いますし」と軽くあしらってくれた。自分は自分で「そうかもしれませんねえ、私は師匠のことを心の底から愛していますから」と吐けばよかった。
 相手が目を点にして閉口するまでが様式美に組み込まれ、多幸感で胸が満ちた。あのまばゆい日々、古くも色あせない記憶。

 「今まで本当にありがとう、老いぼれの醜態を許しておくれ」

 細い手首の頼りなさに胸がしめつけられる。

 「……お父さん」

 小さな頭を袖で隠すように胸に寄せた。すすり泣く声が闇に落ちて消える。
 菊之助、俺の菊之助、他人様の庭に咲く花。父よ、師よ、かけがえのない友よ、凛とした横顔の描線のたくましさよ。

 「何度でも言います、私とあなたはずっと一緒です。たとえ火の中水の中、地獄の底、天国の果てまでも。あなたが無になるというのなら、私も無になりましょう」

 最初はあなたの演じる女に、やがては噺家としてのあなたに、そして男としてのあなたに翻弄され続け。
 そうか、初めから素直に恋と認めればよかったと、今この瞬間ようやく思い至った。

 「絶対に、ひとりにはしません」

 後生だから、あんたの痛苦の半分だけ、今すぐ俺に寄越してくれ。もし全部もらったら、俺の方が先に逝っちまうだろうから。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

それではこれにて一旦お開き!
続きはまた別の場所で!
0281風と木の名無しさん2016/11/14(月) 02:51:14.45ID:z8soH/Ov0
>>280
素敵です!
場所を変えても地の果てまで追いかけますよ!それくらい惚れ込みました。
0282風と木の名無しさん2016/11/14(月) 10:38:31.08ID:oxAnWRra0
>>280
雰囲気、色気、言葉の選び方。あなた様の書かれる物語が、本当に大好きです!
支部でもオフラインでも、追いかけさせてください!!
0283風と木の名無しさん2016/11/16(水) 04:11:16.24ID:qLw+cmE40
>>281-282
ありがとうございます、結局支部にしました……
鍵をかけていますが、伏字で根気強く探したら出てくると思います

管理人様、今までお世話になりました
いつも拙作を収録してくださり、本当にありがとうございました
また、普段はスルーしまうであろうジャンルにも何気なく目を通せるのも嬉しく、文章の勉強になりました
棚という場所があってよかったです
この場を借りてお礼申し上げます


スレ汚し失礼しました!
0284風と木の名無しさん2016/12/20(火) 17:24:19.48ID:63jTBz570
「BASTARD!!」というファンタジー漫画に登場する
DSという主人公が受けの話をお願いします
0287風と木の名無しさん2016/12/25(日) 23:35:01.04ID:sfIUSNZf0
ここそういうスレじゃないしもっと人が多いところでリクエストした方がいいんじゃないか
0289風と木の名無しさん2016/12/28(水) 20:54:05.89ID:zyQ7NLTe0
>>288
多分支部で捨て垢とってアップする人が増えたんだと思う
前はサイト作る程でもないけど萌えをなんとか昇華したいって人が投下してたんだろうけど今は↑ができるからなぁ
0290風と木の名無しさん2016/12/29(木) 13:19:26.23ID:wiGdIrNX0
自分が気まぐれで投下してた6、7年前は1年で4スレくらい消費してたのに、今は1年半で300レスつくかどうかってくらい過疎ってることに驚いた
支部やツイッターの鍵垢に流れちゃったよね
0291風と木の名無しさん2016/12/30(金) 17:18:05.37ID:gk0cJXwE0
連投規制が厳しくなって去った人が多いのでは
今は忍法帖が無いから少しは緩くなったのかな
書き手さん、帰ってきてほしいね
0292風と木の名無しさん2016/12/30(金) 17:26:05.76ID:EaVvoZQJ0
自分も前はサイト作る程でもないしなんとなく表ではやりにくいけど萌えた!みたいなのを投下してたけど今は支部で捨て垢とってができるからなぁ
久しぶりに何か書きたいとは思うけど…
0293風と木の名無しさん2016/12/30(金) 22:00:27.15ID:Kplpfgil0
匿名で、義理じゃない感想が欲しい時によく書いてたなぁ
調子こいて結構な頻度で書いてたら不評買っちゃったけど
0294風と木の名無しさん2016/12/30(金) 22:37:44.81ID:kzItMVq30
>>293
自分もだよ
連投しないようになるべく日数あけて投稿してたけど、その時はすでに過疎化が進んでたから、結局自分しか書く人間がいなくなった
そういう状態がいたたまれなくなって、ますます足が遠のいた
0295風と木の名無しさん2017/01/02(月) 18:39:33.89ID:6GHCqFhs0
>>291
あ、今忍法帖ないの?
投下しにくいと思った最大の理由がそれだったんだよなー
知らないうちにレベルのリセット喰らってたりしてさ、あんまり細切れでもなんだし代行頼むまでもないしなと
0296風と木の名無しさん2017/01/03(火) 15:31:10.77ID:dmE7zggp0
2ch自体にあんまり人がいなくなったしね
流行りジャンルのスレとかは未だに流速早いけど
ここに落とそうとしていざ探したら随分下に潜っていて驚いたわ
0297風と木の名無しさん2017/01/03(火) 16:46:30.78ID:Vk9Dftvm0
匿名っていうメリットのせいか、作品アップしたら必ず何かしらレスポンスがあるから、時々支部やめて戻りたくなるんだけど、ここまで人いなくなるとそれもできないな……
0298風と木の名無しさん2017/01/03(火) 19:03:16.48ID:dmE7zggp0
2chならではの良さってあるよね
久々に来て居心地いいなと感じた
レスポンスは期待しなければ、未だに投下場所としては必要なスレだと思うし存続して欲しい
ちょぼちょぼお邪魔するかもしれません
0299風と木の名無しさん2017/01/07(土) 16:38:52.24ID:svVMTN5l0
忍法帖が無くなったそうなので、久しぶりに投下してみる
本当に久しぶりなので、上手くいかなかったらゴメン

半生注意。ちょっと古いCMネタ
戸世太の新型府゜利臼の 先生×犬
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0300魔法使いの犬 1/32017/01/07(土) 16:40:20.04ID:svVMTN5l0
「シニフィアン」
穏やかな一日の終わりに、お気に入りの毛布の上で、うとうととしていると
先生がベッドの上から、僕を呼ぶ。

知らんぷりを決め込こんでいると
(でも、耳だけは声の方向に向いてしまうのだけど)
また呼ばれる。

「おいで」

くそぅ。
抗えない甘い声。

僕はベッドの下の寝床から這い出して
ぴょんと、柔らかいマットレスの上に飛び乗った。

足が沈み込んで、歩きにくい布団の上を
先生の顔が見える位置まで、てふてふと歩いていった。

ふっと先生と目が合うと、一瞬で僕の体が変化する。
白い犬の姿から、白い服を着た人間の男へと。
0301魔法使いの犬 2/32017/01/07(土) 16:43:12.83ID:svVMTN5l0
今まで何度も変身してる(変身させられている?)から
この体にも、随分慣れてきたけれど
どういう原理でこうなるのかは、謎のまま。

僕の飼い主である先生に
(便宜上、先生と呼んでいるが、何の先生かも不明)
「魔法使いなんですか?」と、一度聞いてみたけど
「さあね?」って、あの何かを含んだような笑顔ではぐらかされた。

そんなこんなを考えている間に、先生は僕を布団の中に引き込んで
僕のもじゃもじゃの髪の毛に顔を埋めてくる。

このまま、すうすうと寝息を立ててくれることもあるけど
大抵の場合、そうはならず。
今夜も、先生の手が、ゆっくりと僕の体をまさぐって
少しづつ、着ている服を剥ぎ取っていく。

「いつも、思うんですけどね」
「・・・ん?」
僕が、少し早口でしゃべりかけると
先生は、のんびりと返事をしつつ、僕のこめかみにキスを落とす。
0302魔法使いの犬 3/32017/01/07(土) 16:46:43.67ID:svVMTN5l0
「こうやって、結局服を全部脱がしてしまうんだから
 最初から、全裸の状態で変身させたら、いいんじゃないですかね?」
「・・・ああ。」
気のない相槌を打ちながら、今度は僕の左ほほにキス。

「そもそも、僕は犬なんですから、もともと服は着てないんですよね。
 それなのに、何故わざわざ?と疑問に思うわけですよ。
 そりゃ、もちろん、外出しているときは、これでいいですよ?
 でも、こういうシチュエーションでは、いかがなものかと。
 しかもシャツだけじゃなくて、その上にベストまで付いて・・・」

「・・・って、聞いてます?」
「あ。ごめん、聞いてなかった」

いつも、これだよ!!

僕はもう観念して、先生のしなやかな指使いに、身を任せることにした。

僕の名前はシニフィアン。
この、わがままでジコチューで勝手気ままで
それなのに、なぜか飛び切り魅力的な
魔法使いの、犬である。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0303必殺☆収録人2017/01/11(水) 15:45:47.60ID:RKLqSo++0
いつもお世話になっております。

保管庫に作品を収録しようとした所、「アクセス権限がありません」と表示されてしまい、更新ができません。
原因は不明ですが、もしかしてプロバイダーを変えたからかも知れません。

その内何とか対応しようと思いますが、その間だけ、どなたか作業を分担して下さると助かります。
0304風と木の名無しさん2017/01/11(水) 16:24:55.06ID:1dSZ0hDc0
>>303
いつもありがとうございます、取り急ぎ直近の作品だけ登録しました
不備がありましたらレスください
0305ひみつの体温2017/02/08(水) 02:12:00.91ID:Qqz21NW60
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 | | □ PLAY.      | |
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) Has Fallenのマイベン剃毛プレイだよ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
0306ひみつの体温 1/92017/02/08(水) 02:12:37.16ID:Qqz21NW60
「絶対に嫌だ!!!!!」
「なんで。マナーだぞ、ベン」
「馬鹿か君は!!だいたいそんなこと、自分でするのが普通だろう!」
 五十路を迎えようかという大の大人二人が小声で激しく言い合っているのは、アメリカ合衆国大統領閣下のアンダーヘアの処理についてである。事は白亜の宮殿のバスルームで起こっている。


 初まりは至極普通だった。
「6時からのインタビューまで時間があるな?」
 そう宮殿の主が秘書官に尋ねる。
「ええ、少し休憩なされたらいかがでしょう」
「ありがたいね、身だしなみも整えたいし。マイク、相談があるから一緒に来てくれ」
「イエス、サー」
 二人の仲がビジネスを超えて仲のいい友人だということは知れ渡っているので、誰も気にしなかった。実際はそれ以上の関係なのだが。二人は連れ立って居住区のリビングルームに入る。
「全く、髭というものは不便だな。こればっかりは女性が羨ましいよ」
 シャワールームに椅子を持ち込んで座り、暖かいタオルに覆われたベンが言う。
0307ひみつの体温 2/92017/02/08(水) 02:13:06.30ID:Qqz21NW60
「確かに。さ、剃りますよ」
「ああ、頼む」
 シェービングクリームを泡立てたマイクが言い、ベンはその白い急所をなんの衒いもなく晒した。そこにマイクはクラシカルな片刃のナイフを優しく滑らせる。
「よし、ハンサムになった」
「ふふ、髭があるとハンサムじゃないっていうのか?」
「まさか!だけど伸ばし放題ってのは退任後までおあずけだな」
 マイクはそう言いながらベンの首周りを守っていたタオルを取り、蒸しタオルを乗せると、ベンの前立が微かに盛り上がってるのが目に入った。
 どうやら髭を当たっているだけで勃ったらしい。まあ、わざと耳の裏や頸の柔らかいところを煽るように指で撫でたのだが。しかし思ったとおりにベンが感じた証拠を見てしまうと、つい、いたずら心が湧く。
「さあ、大統領閣下、下も剃るから脱いでください」
「はぁ!?気でも狂ったのか?」
「まさか。ほら、時間が無くなるぞ、脱げベン」
 マイクは脂下がった顔で笑って言う。
0308ひみつの体温 3/92017/02/08(水) 02:13:35.70ID:Qqz21NW60
「絶対に嫌だ!!!!!」
 そうして冒頭に戻る。
 ベンは暫く抵抗していたが、マイクに眇めるような目つきで自分の反応を指摘され屈してしまった。ベンはマイクの鋭い視線を浴びると、いつも抗えない。微かな吐息を吐きながら仕立てのいいスラックスと下着を降ろす。
「せめて自分でやらせてくれ」
「大統領に刃物なんか持たせられない。大人しく脚を開くんだな」
 妙にうきうきしているマイクを睨みながら洗面台に腰かけ、おずおずと脚を開き言うとおりにする。
 と、ひんやりとしたクリームを塗られ、思わず身震いしそうになる。そして柔らかなそこにきらめく剃刀を当てられ、ベンの薄い下腹がビクつく。その反応を愉しんでいるマイクの眼も見られず、ベンは細く美しい指を噛んで耐える。
「マイク、怖い」
「俺があんたを傷付けるわけ無いだろ」
 マイクはそう言って粟立ったベンの膝に口付ける。
「は、……、」
0309ひみつの体温 4/92017/02/08(水) 02:16:27.62ID:Qqz21NW60
 マイクは好き勝手にベンのペニスを退けながらゾリゾリと音を立て、枯れ草色の下の毛が剃っていく。いちいち剃り終わったところを愛おしげに撫でる。
 ふとマイクが手を止めて見やればベンのそれはしっかりと芯を持って頭をもたげている。なんとも愛らしい、そう思いつつも揶揄ってしまう。
「感じるのか?マゾだな」
「ん、ふ、ばか、おまえだからだ、はッ……」
「ったく、あんたには敵わないな。さ、大統領。後ろを向いて手で尻を押さえて」
「は?嫌だ!!」
「べン。頼むよ」
 彼の好きな自分の中で一等エロい声で頼む。哀れなベンの海の色をした瞳は羞恥で潤んでいる。
「……この、ヘンタイ」
 そう悪態を吐きつつ、言う通りに鏡の方を向き、両手で震える尻たぶを拡げる。マイクは満足気にその肉感的な唇を舐め上げた。
 清廉潔白で通っている彼が、自分の命令で卑猥な行為をする。それは何ものにも替え難く、マイクの支配欲を満たした。
0310ひみつの体温 5/92017/02/08(水) 02:16:55.70ID:Qqz21NW60
  ヒクヒクと収斂を繰り返す貞淑な穴に息を吹きかける。
「ぁ!、ひ、クソっ、馬鹿まいく、やるならさっさとやってくれ……!」
「仰せのとおり」
 きめ細かに泡立てたシェービングクリームを指に取り、大して毛の生えていない敏感になっているそこに塗りたくり、そっと刃を滑らせる。
「ぁ!んぅ……、ヒッ!や、やだ……ぅあ……あぁ、」
「よし、できた」
  濡れたタオルで拭ってやり、一仕事終えて満足げなマイクの首に甘えたように鼻を鳴らしながらベンが縋り付く。
「まいく、イきたいぃ……」
「ん?ああ、そうだな」
  ベンの額にキスしてやりながら、マイクはベン自身に手を伸ばす。そうするとやんわりと制止された。
0311ひみつの体温 6/92017/02/08(水) 02:17:15.82ID:Qqz21NW60
「、そっちじゃ、なくて……」
 潤んだ瞳と紅潮した顔で囁かれる。マイクは思わず頭を抱えた。
「クソ、あんたほんとに……。この後まだ仕事があるだろ?」
 だって、とかでも、と子供みたいにぐずるベンにマイクも限界だった。
「分かったよ、後ろ向いてくれ」
「ん……」
 マイクは兆し始めたそれを扱きながら、おとなしく洗面台に手を付きその小ぶりな尻を向けたベンの耳に後ろから囁く。
「しっかり脚を閉じてろよ」
「?なに……ッ!ぁ、んぅ!」
 閉じられたベンの柔らかい内腿にマイクは屹立を捩じ込んだ。
「や、マイク、何っ……あ!ぁ、ンッ!」
「は、ベン……」
 マイクはベンの会陰を抉るようにグラインドを続ける。マイクが深く穿つほどベンの前立腺を外から、そしてキュッと硬くなった陰嚢までを擦り上げ、二人の官能を煽る。
「あ、ぁは……ッ、やだ、まいく、や……ンン!」
0312ひみつの体温 7/92017/02/08(水) 02:17:43.69ID:Qqz21NW60
「ヤダじゃなくてイイ、だろ……言ってみろ、ベン」
「ん、ンっ!ァ、ふ、ゃ、いい……マイク、当たって、あん!い、気持ちいい……ッあ!」
「俺もいいよ、ベン……」
  そう言ってマイクはベンの波打つ背筋に何度も口付ける。
「も、マイ、ク……立てな、あっ……ぃい、んぅ!」
「もうちょっとだ、がんばれ、ベン」
「無理、むり……きちゃう、ぁ!くる、ぅ、ああ!」
「ッは、俺も、イキそうだ……」
 ガツ、というような骨と骨がぶつかる音がするほど打ち付けると、ベンは一際高い声をあげて達した。
0313ひみつの体温 8/92017/02/08(水) 02:18:18.50ID:Qqz21NW60
「なあ、ベン、悪かったよ」
  パリッとした新しいシャツでネクタイを結んでいるベンはしょぼくれた犬みたいな顔をしたマイクをぎろりと睨む。
「ベン〜……」
 情けない声をあげ、頬にキスを繰り返すマイクを邪魔だとばかりに押しのけ、ジャケットを持たせる。おとなしくベンにジャケットを着させたマイクの唇に噛み付いてベンは言った。
「覚えてろよ」
0314ひみつの体温 9/92017/02/08(水) 02:18:35.11ID:Qqz21NW60
「マイク、大統領がチェスの続きをやるから来いって言ってたぞ」
 夜になり、オペレーションルームに戻った同僚が言う。
「了解」
 にやにや笑う同僚にマイクは怪訝な目を向ける。
「なんだよ」
「今夜は帰さないから覚悟しろよだってよ」
 ひゅー、熱いねえ、なんて囃し立てる周りにマイクは負けを認め、頭を抱えたのだった。
0315風と木の名無しさん2017/02/08(水) 02:19:16.93ID:Qqz21NW60
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
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                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) 素股いいよね  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
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0316aqua2017/02/14(火) 18:50:38.76ID:mrb3oq450
学園戦争、多き×磯っぷの続きみたいです!できれば性描写ありでお願いします。
続きが気になるんでお願いします。
0320おとなげないおとな 0/52017/04/05(水) 19:39:49.99ID:MePYjWoV0
久しぶりに投下したいと思います。
毛探偵でヤクザ×白い人です。
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 | |                | |           ∧_∧ 仲良くはないよ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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0321おとなげないおとな 1/52017/04/05(水) 19:42:09.46ID:MePYjWoV0
 例によって。本当は例によってなどとは言いたくないが、毎度のことなので仕方がない。
 例によって、送られてきたメールに添付されていた画像は、鉄謙だった。
 送り主は蔵見虎泰だ。
 子どもが学習していないのか、大人が大人気ないのか。その両方だろうと思いながら、大矢太郎は深い深い溜息をついた。

「あ? あんた一人なのか」
 蔵見に指定されたマンションの一室に着いたとき、そこには蔵見しかいなかった。この大人が悪戯を仕掛けるとき大抵赤毛の探偵が一緒にいるものだから、今回もそうだとばかり思っていたのだ。
「うん、俺だけ。安心しなよ、約束どおり鉄謙はちゃんと返してあげるからさ」
「鉄謙はどこへやった」
 大矢の眼光が鋭く光る。蔵見は、おお怖い怖い、と肩を竦めた。
「無事だよ」
 送られてきた写真の鉄謙は、二人の探偵助手と一緒に街でクレープを食べていた。いつ撮られたものかはわからないが、その時点では確かに無事だっただろう。
「……それで?」
「そろそろね、俺も腹に据えかねてるんだ。あいつ本当に学習しないから」
 ぐっと蔵見の顔が近づく。眉間に皺を寄せた大矢の顔に怯えの色が走った。
「いい顔、するよねぇ。ちゃんと躾とかなきゃ駄目だよ」
「……とばっちりか」
「そうとも言う」
 悪いけど付き合ってもらうよ、と、まるで悪びれない顔で蔵見は言った。
0322おとなげないおとな 2/52017/04/05(水) 19:44:25.45ID:MePYjWoV0
「どうしても駄目だったら駄目って言いな」
 連れ込まれた寝室で、大きなベッドに押し倒され、大矢は蔵見を見上げていた。ご丁寧に両手が頭上でベッドの柵につながれている。さすがこういう設備も整っているのか、と半ば現実逃避のような思考が頭をよぎる。
「なにも殺したいわけじゃないからさ。リラックスリラックス」
 できるか! と叫びたい気持ちでいっぱいだった。ヤのつく職業の人間にベッドに括られて、リラックスできる人間がいたらお目にかかりたい。
「……なんで鎖なんて」
「だって腕力じゃ俺かなわないだろ。もう全盛期は過ぎたし」
「……はあ」
「大丈夫、武器は今持ってないから」
 蔵見が両手を振ってみせる。今着ているものは飾り気のない半袖のシャツで、確かに何か隠し持っていたりはしそうにはなかった。とはいえ、この部屋のどこかに隠されていない保障はないが。
「相変わらずいい体だ。うらやましいよ」
 蔵見の手が大矢のTシャツの裾から入り込み、腹筋の形を確かめるように撫で回す。緊張を隠せず、腹筋が引きつった。
「そう怯えるなって、いじめたくなっちゃうだろ」
 既にいじめなのではないだろうか。そうは言いつつも蔵見は大矢のベルトを外し、ジーンズの金具を開き、片足ずつ抜かせた。
「脚も長いね。嫌になっちゃう」
 くるぶしに唇を落とされ、半ば反射的に自分の足を取り返そうと力がこもる。それを予想していたのか、蔵見は大矢の足を両腕でがっちりと抱え込んで放さなかった。
「暴れるなよ」
 足を脇に抱えられたまま、下着に手がかかる。大矢は強く奥歯を噛み締めた。
0323おとなげないおとな 3/52017/04/05(水) 19:46:37.21ID:MePYjWoV0
 体内を探られる違和感に、大矢は自分を縛る鎖を掴んで耐えていた。物理的な気持ち悪さのせいか、子どもの時分に植えつけられたトラウマのせいか、額には脂汗が浮いている。それを勘案するでもなく、蔵見は自分のペースで大矢を暴いていく。
「ギブアップしないんだ?」
「……するか」
 浅い呼吸の合間からつとめて低い声で返され、蔵見が楽しそうに笑みを浮かべる。ローションを瓶から手に取り、さらにそこへ塗りこんだ。
「じゃあ、遠慮しないよ?」
 スラックスの前立てから現れたそれに、大矢は呆れと怯えがない交ぜになった視線を向けた。
「……マジか」
「マジさ」
 本当に遠慮せず、蔵見は大矢にそれを押し当てた。暴れられないよう太腿をがっちり押さえ込んでいるあたり、手馴れていて始末が悪い。そのままゆっくりと押し込まれる。
「……っぅ……」
 荒くなる呼吸の合間から、声になる前の音がほんの少しこぼれる。楽しそうな蔵見の様子が腹立たしい。これ以上見ていられなくなり、大矢は目を伏せた。
「……痛くない?」
 気持ち悪い。が、痛くはない。浅く頷いたのに満足したらしい蔵見は少しずつ腰を進めた。ひどい圧迫感にさいなまれ、大矢の奥歯がぎりりと鳴る。
0324おとなげないおとな 4/52017/04/05(水) 19:48:05.27ID:MePYjWoV0
「ほら、息して」
 気づかないうちに呼吸を詰めていたらしい。大矢が意識して息を吐き出すと、体の緊張が少しゆるんだところを見計らって蔵見がさらに深く入り込んできた。
「っ……!」
 目を閉じたのは失敗だったかもしれない。蔵見の動きが逐一意識に上ってくる。握った鎖がぎしぎしと軋んだ音をたてる。蔵見は少し身を引き、また奥へ進むことを何度か繰り返している。
 突然、大矢は背筋に電流が走ったような感覚を覚え、驚いてとっさに蔵見を見上げた。蔵見が少しの驚きをもって見返してくる。次いで、にやりと口元を歪ませた。
「ここか。いいね、素質あるよ」
「……っ、ま、待て!」
 もう一度同じ箇所を刺激され、慌てて制止する。駄目なら言えと言っていたとおり、蔵見は制止に応えて動きを止めた。
 ほっとしたのもつかの間、体内の蔵見は神経の束の真上に居座っている。動きが止まった分その存在を明瞭に感じてしまい、大矢はうろたえた。このままというわけにはいかない。自分も。
「……もう、いいかい?」
 じわじわと体内の熱に蝕まれる大矢の変化を見て取り、蔵見は声をかけた。言うまで待ってもいいが、さすがにそこまではいじめすぎだろう。案の定、眉間に深く皺を寄せて、ひどく不本意そうな表情で、大矢はかすかに頷いた。
0325おとなげないおとな 5/52017/04/05(水) 19:52:22.69ID:MePYjWoV0
 終わるやいなや鎖を解かれ、広い風呂場に放り込まれた大矢が遠慮なく湯を使って上がると、脱いだはずの服はそこになく、代わりに新品の服が置かれていた。
 何故かサイズぴったりの服を着込んで部屋に戻った大矢に、蔵見は未開封のペットボトルを投げてよこした。危なげなくキャッチし、念のため注意深く点検してから開封する。
「悪かったな、お前さんが強情だからってちょっとやりすぎた」
「……鉄謙は」
 低く唸った大矢の声は枯れていた。大声を出したわけではなかったが、声というものは殺し続けても枯れるものらしい。ペットボトルの中身の匂いを嗅いでから慎重に口をつける。どうやらただのスポーツドリンクのようだ。
「大丈夫、無事だよ」
 蔵見が自分の携帯を開いて大矢に見せる。画面には、金髪の探偵助手が自撮りしたらしい写真が映っていた。鉄謙と黒髪の助手も一緒に写っている。三人ともクレープを食べていた写真と同じ服装だ。
 大矢が携帯を操作して写真のタイムスタンプを確認すると、つい30分ほど前の時刻が記録されていた。
「助手くんにお小遣いをあげて、一緒に遊んでおいでって言っただけさ。写真の送信は頼んだけどね」
 この上なく複雑そうな顔で、大矢は写真を見つめていた。やがて、深い溜息とともに肩を落とす。
「……まぁ、半分は俺の落ち度だ」
 ギブアップは促されていた。部屋を見回すと、大矢が来たときに着ていた服が紙袋に入れられているのを見つけた。
「これはもらっていいんだな」
 律儀に新しい服について確認を取る大矢に、蔵見はどうぞ、と頷いた。詫びのつもりでもないが、やりすぎた自覚はあった。
「送ろうか?」
「願い下げだ」
 荒々しい音を立てて玄関のドアが閉まる。一人部屋に残った蔵見は楽しそうに笑った。
「さーて、次は直接お願いしようかな」
 寝室の引き出しにはカメラが仕込んであった。
0326風と木の名無しさん2017/04/05(水) 19:54:33.45ID:MePYjWoV0
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以上です。蔵タロ書きたくてしょうがなくなってたけど、出すところなくて困ってました。
ここが残っていて本当によかったです。
0328魔王×勇者 1/52017/05/09(火) 16:00:18.53ID:vgyPKnSY0
オリジナルで魔王×勇者
レトゲーで時々あるような、実は主人公側が侵略者だった的な感じの話です
とりあえず前半のみ。後半でエロが入ります
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

勇者は遂に魔王の下へと辿り着いた。だがここに来るまでに多くのものを失った。
共に戦いに挑んだ仲間は皆「必ず世界を救ってくれ」と言い残し、志半ばで散っていった。
彼らの命懸けの願いを背負い王の間に立った勇者だったが、その姿はあまりにも悲愴だった。
剣は欠け、鎧は砕け、その身には幾つも穴が開いている。ボロボロになった身体を気迫だけで
動かしているのは明らかだ。勇者は脚を引き摺りながら広間の奥へと進み、渾身の力で叫ぶ。
「出て来い魔王!!」
光すら吸い込まれそうな暗闇がぐにゃりと歪み、そこから一人の男が姿を現した。
勇者はそのあまりにも『らしくない』容姿に戸惑う。
重厚な甲冑も禍々しい魔物の身体も持たない、紳士然とした精悍な顔付きの男がそこにいたのだ。
「……やっと来たか」
落ち着いた低い声が空気を緊張させる。それだけで気圧されそうになったが、迷いを振り払って
剣を握り直した。
「っ貴様さえ倒せばっ……!!」
叫ぶと同時に地面を蹴る。
勝算などない。万全だったとしても勝てるかどうかというほどの圧倒的な力の差には気付いていた。
だとしても立ち向かうしか道は残されていないのだ。
「うおぉぉおおお!!」
振り下ろした刃は魔王に届くこともなく砕け散る。勇者はすぐに体勢を変え、残っていた魔力を
全て叩き込んだがそれも無駄だった。
勇者の表情が絶望に歪む。彼にはもう逃げ場がない。
彼の背には人々の希望が乗っていた。
彼の手には仲間の願いが託されていた。
負けることは許されない。
勇者は魔王を倒さなければならない。
世界を救わなければならないのだから――…
0329魔王×勇者 2/52017/05/09(火) 16:01:23.70ID:vgyPKnSY0
「くそっ……!」
「無駄だ。よせ」
「まだだ!!こうなったら……!!」
ゆっくりと歩み寄ってくる魔王と距離をとり、勇者は己の命を魔力に変える禁忌の術を発動させる。
――倒せずに逃げ帰るくらいなら、せめて道連れにして葬ってやる……!
そう覚悟を決め、詠唱を始めようとした時だった。
「もう止めろ」
いつの間にか目の前に立っていた魔王が手を伸ばす。
殺される――思わず目を瞑った次の瞬間、勇者の身体は魔王の腕の中にあった。
「なっ……!?」
「もう十分だ。自爆魔法など使う必要はない」
「ふざけるな!!何のマネだ、放せ!!」
「もっと早くこうしていれば、あんなに大きな犠牲を払うこともなかったのに」
「……は…?」
「すまなかった」
まるで慰めるように彼の身体を抱き竦める魔王の意図がわからない勇者は混乱し、声を荒らげた。
「『すまなかった』だと…?お前達が俺の仲間を殺したんだろう!!散々人間を苦しめてきた
くせに、何がっ――」
「それは違う。我ら魔族は人間を脅かしてなどいない」
「っ、うるさいっ!!」
「お前も気付いていたはずだ。魔族が自ら進んで人間を傷付けたことは一度もなかったと」
「っっ!!」
認めたくなかった事実を突き付けられた勇者は顔を強ばらせた。
それを見た魔王は悲しそうに項垂れる。
「我らは縄張りから出ない。人里を襲いもしない。もちろん人間もだ」
「……ぁ…」
「人間が我らの縄張りに入り、我らを追い出そうとした。我らは抵抗しただけだ。
常に先頭に立っていたお前にはわかっていた。だからここまで追い詰められているのだろう?」
魔王の言葉が目を逸らしていた真実に向き合わせる。
0330魔王×勇者 3/52017/05/09(火) 16:02:30.90ID:vgyPKnSY0
魔物達は倒される瞬間、皆諦めたような眼をしていた。『どうして』と、理解されない悲しみに
染まる瞳を何度切り伏せたことだろう。その度に勇者の心は軋んだ。
「何も知らない人々や仲間の願いが呪いのようにお前を縛り蝕んでいく様を見ていられなかった。
だが迂闊に私が出ていけば要らぬ犠牲を生む。お前の苦痛を増やすことは避けたかった」
「ぅ…ぁぁ……」
「お前にこんな顔をさせたのは誰だ。何故お前だけが苦しまねばならない。
始めからそんな必要はなかったのに」
「あ、あぁぁ……!」
「人間にも魔族にも既に世界は足りているのだ。お互いの領域を侵さずとも十分に
生きていけるよう均衡は保たれている。なのに人間だけがそれに気付かず、不必要な
排除を繰り返してきた。『勇者』という都合の良い存在を作りあげてな」
彼が告げる真実が、魔物達の声なき叫びが、勇者の揺らいでいた信念を打ち砕いていく。
苦しめていたのは自分達だった。殺してきたのは自分だった。
それはどんな一撃よりも勇者を深く傷付ける。勇者を打ち負かすためにデタラメを
吹き込んでいる可能性もあったが、もう彼にそれを見破るだけの余力はなかった。
「……俺……は…っ……」
「何故、お前だったと思う?」
「…………え……?」
「身寄りのない天涯孤独の身だが腕は立つ。正義感も強く、誰かを助けることに
生き甲斐を感じている。仲間も皆そうだっただろう?」
魔王の問い掛けに背筋が凍り付く。
思い浮かんだ答えを拒絶するように身体がガタガタと震え出した。
「……まさ、か、そんな……っ」
「お前達は人々に選ばれたのだ。無意識の内に、『死んでも困らない』存在として」
「!!」
「『勇者』だから世界を救うために己を犠牲にしてくれる、とな」
「ーーっっうわぁぁあああぁぁ!!!」
耐えきれなくなった勇者は悲鳴を上げてその場に崩れ落ちてしまった。少しずつヒビが
入っていた心が完全に壊れ、タガが外れたように泣き喚く。
0331魔王×勇者 4/52017/05/09(火) 16:03:41.31ID:vgyPKnSY0
「ああああ!!ぅあ、あぁ、あああぁぁあ!!」
「お前の役目は終わった。もう苦しまなくていいんだ」
「ううぅうぅ、ごめんなさい、ごめんなさい……俺が、俺が殺し、殺した、俺が殺した、俺がっ…!
みんな殺した、俺が殺した、っっごめんなさい、ごめんなさいっ、ごめんなさい……!!」
勇者はひたすらに謝り続けた。蹲り、嗚咽を漏らしながら床に何度も頭を擦り付けるようにして
許しを乞うた。
魔王はそんな彼を抱き起こし、あやすように背中を撫でてやる。何かに縋りたかった勇者は
魔王の胸に顔を埋めて泣いた。
「っぐ、ぅ……そんな、つもりじゃなかった…」
「辛い思いをさせてすまない。だが全てを話す必要があったのだ。許してくれ」
「…俺は、俺はただっ………みんなが幸せになるならって………それだけだったのに……っ」
彼の言った通り、魔物達から先に襲われたことは一度もなかった。「危険だから」といつも
先制攻撃を仕掛けていた。
魔物達は皆口を揃えて「戦う必要はない」と言っていた。それは強さ故の忠告ではなく
真の願いだったのだろう。
勇者は違和感を持ちながらもその手を振り下ろすのを止めなかった。息の根を止める度
すり減っていく心に気付かないふりをし、一刻も早くこの争いを終わらせようと無心に
剣を振るってきた。
だが結局、それらは全て無意味なことだったのだ。
「っ…殺さなくていいなら殺したくなかった!!俺は、今まで何のために…っ!!」
「手を汚させてしまったことはいくら詫びても足りぬだろう。だがお前に選んでもらいたい」
「……選ぶ…?」
魔王は改めて勇者と向き合った。
漆黒に艷めく髪、深紅の瞳、整った顔。
思わず見蕩れてしまうほど魔王の姿は美しかった。
「世界を変える大きな選択だ」
「……」
「お前が望むのなら、二度とお前のような存在が生まれないようにしてやる。人間と魔物が
いがみ合うことのない世界に変えてやる」
そんなことができるのだろうか。一体どうやって?
もしかして人間を滅ぼすとかそういう意味なのだろうか。
0332魔王×勇者 5/52017/05/09(火) 16:05:18.62ID:vgyPKnSY0
でも本当にできるのなら。他にこんなに苦しい思いをする人がいなくなるのなら。
「どうする勇者よ。お前は何を願う。人々に背負わされた望みか?それとも――…」
涙でぐしゃぐしゃになったやつれた頬に手を添え、魔王が問い掛ける。
力強い眼差しと慈しみに満ちたその瞳は、神と見紛われてもおかしくないほどの愛で溢れていた。
「………俺、は……もう…………疲れた……」
勇者はまた涙を溢れさせ、静かに目を閉じる。
「わかった。ならば全てを終わらせよう」
魔王はその涙を拭い、立ち上がって詠唱を始めた。

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続きは後日持ってきます
最初投下しようと思ったら「埋め立てですかぁ?」とか出てびっくりした
けどまだここがあって良かった
0333君と追いかけっこ1/42017/05/10(水) 20:59:37.91ID:5pNsnBd/0
某国民的殺人ラブコメアニメのFBI×公安と探偵×怪盗
表記揺れはわざとです
ナニモハジマラナイママオワッテシマッタorz

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安室透にとってタイミングは最悪だと言わざるを得ない。
半年ぶりに逢う元・恋人の前で安室が別の人間と抱き合っていたからだ。
しかも顎に手をかけ今にも口づけを交わすかのような姿勢で―――。

例の国際的犯罪組織が摘発されてから2年、
一つの大きな悪が潰えたところでそれで終わりなわけではなく、
逮捕を免れた末端の小物たち、取って代わらんとする別の悪党どもの台頭、
そんな物の対応に各国の捜査期間はあわただしく動き続けていた。
日本に集結していた各国のエージェントは解決後、
時期の差こそあれ皆自国に帰って行った。
一番長く残っていたのはFBIで、彼らは『あの方』と呼ばれた組織の首領が
逮捕されてから一年間日本の公安と共同捜査を行っていた。
その一年の間にFBI捜査官赤井秀一と日本の警察庁降谷零の関係は目まぐるしく変化した。
あの事件の真相は捜査中にとっくに知れていた。
降谷がそれを知った時、絶望し、怒り、後悔し、ぶつけようのない感情を持て余して一時期はボロボロだった。
赤井をただ憎めば良かった頃は憎しみが体を動かす糧だった。
しかし真相を知ってしまえばそれはただの八つ当たりだ。赤井が故意にそうさせていたともいう。
降谷の優れた頭脳は冷静に赤井は悪くないと告げていたし、同時に情報を隠匿し、
検討違いの感情を植え付けた男を許すなとも喚いていた。
整理できない感情に翻弄されて任務に支障をきたすなどあってはならない。
だから降谷はFBIを含む各国と協調しての捜査を余儀なくされる状況に直面した際、
『安室透』のパーソナリティを全面的に利用することに決めた。
安室透の設定は明るく、したたかで、切り替えが早く、恨みつらみを引きずらない。
安室の仮面は便利で、あんなにどんな顔をして会えばとさんざん悩んでいた男にも、
ニコニコとフレンドリーに話しかけることが出来た。
うぬぼれではなく、組織の検挙には赤井と安室との連携が大きく貢献したのだ。
そうして見事因縁の組織を潰し、満身創痍ながらも五体満足で生き残れたことに感謝しながら、
沸き立つ捜査員たちから少し離れて立っていいた安室の元に近寄ってきた赤井に、
安室は「お疲れ様」と笑って左手を差し出した。
その手には目もくれず、赤井は安室の目を見つめたまま告げた。
「降谷君、あの件について君の怒りは正当だ。その怒りを隠す必要はもうない」
その言葉を聞いた瞬間、降谷は目の前が真っ赤に染まり気づけば渾身の力を振り絞って赤井を殴りつけていた。
検挙作戦において主力を担った赤井はぎりぎりの状態だったのか殴られて意識を失った。
そして殴った安室もまた同様に限界だったところに全力を振り絞った為、なけなしの体力を失い意識を手放したのだった。
0334君と追いかけっこ2/42017/05/10(水) 21:01:44.88ID:5pNsnBd/0
赤井秀一が次に目を覚ました時、目に入ったのは白い天井だった。
目を開けて一番に見るものがあの青い瞳だったらいいのにと思っていた心があからさまにがっかりした。
軽く体を起こし、周囲の様子を観察する。
予想通りそこは病院で、枕元に置かれた時計によると記憶にある日の翌日の午前4時。
約6時間寝ていたことになる。
身体の傷はすべて手当され(もともと軽傷だ)、痛むのは降谷に殴られた頬のみ。
(ああしかし―――、久しぶりに見た)
殴られる直前の男の顔を思い出す。
にこにこした好青年の顔の裏に隠されていた、強い意志を宿した瞳と決意に結ばれた口元。
そして自分だけに宿す怒りと憎悪。
例の件が降谷の知る所となって以来、隠されてしまった感情を引き出せたことに赤井は満足げに笑った。
赤井があの件をずっと黙っていたのは、降谷を苦しめたいわけでも、悲しませたいわけでもなかった。
己のミスで死なせた、ただそれだけのことだったからだ。
だがバーボンが死んだ男と同じ日本警察の降谷零だったことや男と幼馴染だったことを知った時も、
真実を告げようとは思わなかった。
降谷が何者であろうと、認識は変わらない。ただ己のミスで彼の知己を死なせたことは謝るべきだとは思った。
「あなたって、頭もいいし状況判断能力は高いのに、人の心の機微は読めないわね」とは、
かつて利用した女の妹ー灰原哀ーの談だ。姉にも似たようなことを言われた。
降谷があの件の真実に到達し、安室の仮面を外さなくなって相談した際そう断じられた。
「彼の気持ち、私は想像できるわよ。似たような立場だもの私たち」
現在の外見に似合わぬ大人びた哀愁を漂わせぽつりとつぶやく。
「悲しみを誰かのせいにして憎むことでやり過ごそうとしても、自分の非から目をそらすことだってやっぱり出来ないもの。
お姉ちゃんが死んだのはお姉ちゃんが愚かな選択をしたからだわ。
でもその選択をしたのは私の存在があったから。庇ってくれなくていいわ、単なる事実だもの」
この件についても赤井は何度も灰原に自分に原因があると言った。
スパイに利用されたから粛清されたのだと。
しかし灰原は頑として認めなかった。姉が死んだのは姉が組織の愚かな策略に乗ったため。
策略に乗ってしまったのは自分のためだと。
少しはあなたのせいもあるかもね、とクスリと笑った少女はすでに自分の中で整理がついたのだと伺えた。
「あなたは何度同じ間違いを繰り返すのかしら?自分が悪い、そういって自己犠牲に酔っていればあなたは気持ちいいかもしれないわね」
死んだ人間と、ミスをした男と、死んだ人間が守りたかった者(引き金を引かせた者)。
ああ確かに同じだと自分の愚かさを認識したときには、降谷は安室となっていた。
0335君と追いかけっこ3/62017/05/10(水) 21:55:18.90ID:1DTzC7uV0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

すみません、埋め立てといわれ書き込めないのでここで中断します
0336君と追いかけっこ3/102017/05/10(水) 22:06:47.52ID:1DTzC7uV0
コマギレすればいけそう!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


赤井は降谷が負うべき荷物さえ奪い取って、起こったことを整理する機会さえ与えなかった。
結果がこれだ。
やり直さなければならないと思い続けたが安室のガードは固く、とうとう得られた瞬間がすべてが解決したときだったのだ。
しかし赤井は成功した。
隠れつづけていた降谷零を引きずりだしたのだ。
気を失ってしまったのは失態だが、彼が再び安室に戻ってしまう前に話を付けなければ。どうせ彼もここにいるだろう。
赤井はベッドから抜け出すと、降谷の病室を探してまずはナースステーションに向かった。
0337君と追いかけっこ4/72017/05/10(水) 22:07:31.65ID:1DTzC7uV0
その後降谷が目を覚ますまで枕元にいた赤井が意識を取り戻した降谷と再度ひと悶着を起こし、
それでも赤井が諦めず話し合いを重ね、とうとう涙をこぼした降谷を抱き込んでそのまま二人で眠ってしまった姿が
見舞に来た部下たちに発見され、散々こじれた因縁はあっけなく解けてしまった。
以降職場復帰した降谷の元に夕食に誘う赤井何度もが警察庁で目撃されるようになり、
気の置けない友人となったのち、その場のノリと勢いで二人は恋人となった。
その半年後、赤井はアメリカへと帰り遠距離恋愛となる。
最初の1か月は週に2回あった連絡が月に3回となり、一回となり、二か月に1回となって、
半年前から音信不通となった。
ああ、遠距離なんてこんなもんだよなと痛む胸に蓋をして、
安室は訳知り顔で赤井の電話番号をプライベートの端末から消した。
0338君と追いかけっこ5/72017/05/10(水) 22:08:08.69ID:1DTzC7uV0
さてそれが半年前のこと。
今、自然消滅したはずの降谷の元恋人赤井秀一が目の前におり、鬼の形相で安室を睨みつけている。
ここはかつて身分を隠して働いた喫茶店ポアロで、安室はとある事情の為に再びここで単発のバイトをしていた。
安室の腕の中には12歳年下の『ちょっとした知り合い』が顎を掬い上げられたまま、
安室と同じく赤井を見て顔をひきつらせて硬直している。
「め、めーたんてー……」
いや違う。彼は赤井を見ていたわけではなかった。
「よぉバ快斗。白昼堂々いちゃつくとは良いご身分だな?」
赤井の陰には日本警察の救世主、平成のシャーロックホームズと呼ばれる東の名探偵工藤新一が、
にこやかにほほ笑みながら怒りをあらわにするという器用な表情を浮かべ佇んでいた。
0339君と追いかけっこ6/102017/05/10(水) 22:10:04.03ID:1DTzC7uV0
話は少し遡る。
工藤新一は羽田の国際線到着ロビーにいた。
「あっ赤井さん、こっちです!」
「やぁボウヤ、久しぶりだな」
声を上げた工藤の元に黒尽くめの男が近づいいてくる。
すらりと高い背に、がっしりとした肩幅、長い足を持て余すことなく無駄のない所作で歩く男の名は、
周囲(特に女性)の目線を集めながら全く気にすることなく軽く手を上げた。
「お変わりなさそうですね」
ちらりとトレードマークのニット帽に目をやりながら工藤は言う。
「ボウヤは……でかくなったな」
「あー、それ、もうやめてくださいよ」
ボウヤっていうのも。工藤と顔を合わせる度お決まりになったやり取りに赤井は日本に帰ってきたことを実感する。
「荷物それだけですか?随分と身軽ですね。せっかく車で来たのに」
「免許を取ったのか。では今日はあれで来たのか?」
「スバルの方ですよ。初心者にマスタング運転しろとか無茶言わないでください」
赤井が日本にいた頃乗り回していたフォードとスバルは日本を撤退する際、世話になった手間賃替わりにと工藤に譲った。
現場に行くには足があった方が良いので工藤は素直に受け取ったが、後で価格を知って卒倒しかけた。
人に簡単に譲る車ではない。
「でかい車の方が女受けはいいがな……。ああ、ボウヤにはそういう意味でもむようだったか」
軽口を叩き合いながら駐車場に停車していた車に乗り込む。自分が乗り回していた頃は煙草の匂いが染みついていたが、
今は取り付けられたディフューザーから発散されるかすかな花の香りで満ちている。
大方、誰か気の利く人物からの免許取得祝いといったところか。
「からかわないでくださいよ。……赤井さん、今回はお仕事での来日ですよね」
「ああ、怪盗キッド……奴の狙っている宝石にちょっと野暮用があってな」
「俺も今回捜査協力の依頼来てるんで、お手伝いできますよ」
「それは心強いな。だがまずは一息つきたい。降谷君の家まで頼めるか?」
当然のように恋人の名を出せば、ぴたりと工藤の動きが止まる。
0340君と追いかけっこ7/102017/05/10(水) 22:10:29.64ID:1DTzC7uV0
ギギギ……と油の切れた機械人形のようにぎこちなくこちらを向き直った
「あ、赤井さん。今回の来日、安室さんに知らせてません、よね?」
おや、と赤井は工藤の言葉に引っかかる。
赤井の恋人の降谷はことは、工藤ももちろん知っている。
もろもろ終わった後は安室ではなく降谷と呼んでいたはずだ。
と、いうことは……。
「降谷君は今また潜入中か。通りで連絡がつかないはずだ」
「あ、一応連絡はしたんですね」
「ああ、だが番号が変更されていた。ボウヤは彼の新しい番号を知っているか?」
「俺も教えてもらってないですよ。でも、その態度は赤井さん、知らないんですね」
「うん?彼の新しい番号は知らないぞ」
「じゃなくって、あむ……降谷さん、赤井さんと別れたと思ってますよ」
A bolt from the bule。晴天の霹靂。寝耳に水。藪から棒。
工藤の言葉は赤井の灰色の脳細胞を停止させるに充分だった。
工藤は何といった?降谷が俺と別れたと思ってるって?なぜそんな結論になる?
初めて見る赤井の様子に工藤もまた驚いていた。
「えーと、とりあえず、なんか認識の相違があるみたいなんで、安室さんに会います?」
「居場所を知っているのか!」
がばりと工藤に詰め寄った赤井の必死の形相と言ったら!!
今日はびっくりすることばっかだななんてノンビリと考えてながら工藤は車を走らせ米花町に向かう。
まさかそこで自分の意中の人が尊敬する大人に迫られている様子を目にするなんて思いもしないまま。
0341君と追いかけっこ8/82017/05/10(水) 22:12:24.85ID:1DTzC7uV0
赤井の恋人(安室の認識によると元恋人)安室と、名探偵工藤新一の目下の標的、想い人黒羽快斗のラブシーンは、
かつてシルバーブレットと呼ばれた二人にまともな思考をする能力を奪うに十分だった。
抜身のナイフのような視線が二組。
安室と黒羽は一瞬目を交わすと言葉もなく示し合せ、脱兎のごとく裏口に駈け出した。
「「まて!!」」
シルバーブレッツの声が重なる。
だが二人は決して振り向かない。
一瞬でも気を抜けばすぐに捕まる、そういう油断のならない相手であることは、二人は身をもってよく知っているからだ。
安室が走りながら目線を黒羽にやる。
黒羽はすぐ、安室の手が動いていることに気づいた。
人差し指、中指、薬指を立て、ぐっと握る。次に小指以外を全て立て、親指と人差し指を立て、……。
数字の羅列を示していると理解した黒羽は、一つうなずきすぐに安室とは別の方向に駈け出した。
「ちっ逃げられたか」
ガラも悪く赤井が吐き捨てる。
工藤はとっさに黒羽につけた発信機を追っていたが移動スピードから途中で気づけれ車にでも付け替えられたことを悟りやはり舌打ちする。
「赤井さん」「ボウヤ」
同じタイミングで声を掛け、再び二人の声が重なった。
「「絶対に捕まえるぞ」」
かくして、シルバーブレット対白い夜の住人の追いかけっこの火ぶたは切って落とされた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

数字gdgdですみません8/8で最後です
スレ汚し失礼致しました
0342一瞬だけど永遠1/22017/05/11(木) 13:03:18.05ID:00NsuC7S0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

静かな夜だった。
いつも聞こえていた心電図を刻む電子音も、ぽたぽたと垂れる点滴の音も聞こえない。
着けられていた人工呼吸器は外され、久しぶりの自発呼吸はやはりろくに酸素を肺には送ってくれなかった。
だが、それでいい。全ては今日ここで終わる。
家族に囲まれ、ベッドに横たわる男はとても穏やかな気持ちだった。
大企業を経営する父の元に生まれ、金に不自由することなく育てられた。
家族仲は良好で、忙しいながらも父はよく旅行に連れて行ってくれて様々なことを教えてくれた。
母はお嬢様育ちらしくおっとりとした穏やかな人で、自分や弟妹をいつも優しく見守ってくれていた。
幸いにも頭もそう悪くなく、良い大学に進み、卒業してからは父の知り合いの会社に入り経営を学んだ。
やがて父の会社に移り、跡取りとして名に恥じないよう必死で働いた。
あるパーティで知り合った取引先の社長の娘に見初められ、相手からのアプローチで結婚、2男1女に恵まれた。
父がそうであったように、自分も子供たちに様々な経験をさせようと家族でたくさん旅行をした。
誤算だったのは長男次男がそこから世界に興味を持ち、会社経営ではなく長男は外交官、次男は国際協力NGOとなったことだ。
お兄ちゃん達には好きなことをやらせてあげてよ、会社は私が継ぐわ、とは末っ子長女の言葉である。
大学で経営学を学び、今ではそこで見つけた婿とともに会社を盛り立てている。
孫は全員合わせて7人、一番末の孫はまだ7つだ。
その子は泣きそうな目でこちらを見つめている。
「父さん……」
最初に泣き出したのは長男だった。昔から涙もろかった。
目線でそれを見咎める。
「兄さん、泣き虫は変わらないな、父さんが言ってるぞ『なんだお前、男のくせに』って」
そうからかう次男も泣き笑いの表情だ。
自分の死に、ここに集まった者達は皆悲しんでくれている。
その事実が男を死の恐怖から遠ざけた。
一人一人お別れの言葉をかけていく。どの思い出も暖かかった。
だけど、たった一つ心残りがある。
この心残りを解決しなければ、死んでも死にきれない。
力を振り絞り、男は言葉を発した。
「彼と……二人きりに……」
0343一瞬だけど永遠2/32017/05/11(木) 14:10:20.07ID:ZLACMQOv0
家族と主治医はうなづくと、ぞろぞろと退出していく。
そうして部屋には彼と男だけが残った。
「旦那様……」
彼はそっとベッドに近づき、力なく投げ出された手を握る。
握られた男の手も、握る男の手もしわだらけの老人の手だ。
だが、彼らは違った頃の手をを知っている。
子供の頃、遊びに行こうと彼の手を引っ張って飛び出したのは男の手だった。
中学で部活に打ち込み豆だらけになった手に包帯を巻いてくれたのは彼の手だった。
大学の時、将来について悩み荒れた時殴り合った手だった。
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