単行本133-34ページの間にあった出来事の捏造妄想です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
……まずい。待て、出てくるな!!
その声を耳にしたときには、もう、手遅れだった。
木という木、その枝という枝にとまった夥しい数のカラスどもが、
文字通り、辰を喰い殺そうと襲いかかってきた瞬間だった。
翼が、爪が、嘴が。身を守る術を何も持たない辰の身体を、
容赦なく打ち据え、突き、抉った。
声すら上げられなかった。
──たつにい、たつにい。
悲鳴にも似た弟の声が、凄まじい羽音や鳴き声に混じって聞こえた。
──顔を伏せろ、目を守れ。
蟲師の言葉に従おうにも、自分が立っているのか倒れているのかもわからなかった。
(腕が、右腕が、灼けるように、痛ぇ!)
(俺、このまま、死ぬのか……?)
「じっとしてろ!」
声がすると同時に、誰かの手で地面に引き倒された。
訝る間もなく、今度はその誰かの手で布を被せられる。
闇の中、何が起こっているのかもわからない。
だが蟲師が何かをしているのは確かで、あれほど激しかった鳥たちの攻撃が急速に遠ざかっていく──。