馬鹿でも分かる名誉毀損
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AV出演歴は「社会的評価」を低下させるのか?
「名誉毀損になり得るには、社会的評価の低下があるといえることが、大前提として必要です」
清水弁護士はこのように指摘する。AVの出演歴を知られることは、社会的評価が低下すると言えるのだろうか。

「『AV出演の過去がある』ということは、一般的には他人に知られたくはない事項だとは思います。ただ、AV自体が違法なものではなく、
AV女優という職業が成立していることからすると、社会的評価の低下があるとストレートに言ってよいのかという問題があります。

しかし、多くの人に自身の裸体や性行為を晒すAV女優という職業が、一般的な職業とは考えられておらず、性を扱う職業に対して、
嫌悪感を持っていたり、蔑んで見ている人も少なくないのが現実です。

このような社会通念を前提にして、一般人の普通の注意と読み方をすれば、AV出演をしていたと指摘することは、社会的評価を
低下させるものであると評価できます」

それでは、名誉毀損にあたるということだろうか。

「社会的評価の低下があるとしても、次の3点をいずれも満たせば、違法性がないものと扱われ、名誉毀損にはあたりません。

(1)公共の利害に関する事実にかかわること(公共性)

(2)もっぱら公益を図る目的であること(公益目的)

(3)摘示された事実が真実であること(真実性)」

●プライバシー侵害の可能性も
プライバシーという点からすると、どう考えることができるだろうか。

「プライバシー侵害については、真実であるほど、公開されると損害は大きいものになるわけなので、これも成立する余地があります。

しかし、一般的に、プライバシー侵害が成立するために非公知性(公に知られていないこと)が必要だと言われます。

私見では、非公知性はプライバシー侵害の成立要件ではなく、侵害の程度を検討する指標に過ぎないと思いますが、そのように解釈される
例はまだそこまで多くありません。