俺は、小さく「会いたかった」と呟いた。
ずっと、麻妃に伝えたかった言葉だ。
麻妃の唇から、「私も」と声が漏れた。
俺は、その声を噛むように、麻妃に唇を重ねた。
麻妃は抵抗しなかった。小さな指が、俺の背中のシャツをつかむ。
麻妃の髪から放たれる果実の匂いが、鼻をくすぐった。

その夜、麻妃の泊まってるホテルで俺たちは抱き合った。
麻妃の肉体は、年月の分だけ熟れていた。
しなやかな白い腕に抱かれ、形のよい乳房に顔を埋めると、どこまでも深く入りこんでいくような、柔らかい安堵感に包まれた。
髪の生え際を撫で、耳を噛み、背中のくぼみに舌を這わせ、股の間の深い溝の部分を指でなぞる。そのたび麻妃は、甘い音を吐き、ぴくりと首をすくめ、髪から果実の匂いを放った。
俺は麻妃の溝に鼻を埋めて、舌を挿し入れた。
麻妃はバイオリンの弦のように、しなやかにのけぞり、高い旋律を口から奏でた。
「ああっう!」
充分に愛液があふれた溝に、俺は自分の股間を分け入れ、ゆっくり貫いた。
「はっ、うっ!」
麻妃は顔をゆがませ、俺の裸身に腕をからめ、強い力で引き寄せた。
俺の分身をすっぽりと包む肉が、絞るように収縮した。
「高夫さん…動いて」
「わかった」
俺はゆっくり、しかし確実に鐘を打つように腰を振った。
麻妃は打ちこんだ瞬間に合わせ、喉から艶やかな鈴の音を鳴らした。
「あん!あっ!あぁんっ!」
俺は首を曲げ、麻妃の桜色の乳首を口に含んだ。薄い汗の味がした。
鈴の音を聞きながら、俺は腰を振り続けた。
あっという間に高まり、頭の中がはじけ飛ぶような快感が、脊髄を通って、全身の毛穴の先まで走った。
俺の分身から快感の塊が、大量に放出された。
「あうっ…くっ!」
麻妃の包む肉は、さらに分身をきつく絞り、俺の液体を奥へと吸いこんだ。
数年ぶりのセックスは快楽だけではなく、気持ちの深い部分まで満たされるものだった。

俺の腕枕で、麻妃が寝ている。
いつも近くにいてくれた。たったひとりの女性。
麻妃が俺を愛して、セックスに応じたのかどうか。本当のところはわからない。
少なくとも、俺は麻妃を愛している。
俺の痛みを全てわかってくれる女は、麻妃以外にいない。