自分は調理師学校を首席で卒業して
聘珍楼に入りたいと思った

料理長が聘珍楼の出身だったから
同じ道を辿って
広東会の人間になりたいと思った

そんな人生もアリだと思っていた
今さら夢のような話だけど

女が料理なんて、という
人間もいるような男社会の世界で

体力的に精神的に劣る
女に勤まるような仕事ではない

そのことを身に染みて感じた
辞めて、逃げて、逃げて、逃げた
強がっていても、弱かった

だから、戻るかは、わからない
また崩れてしまうことだけが恐い

また中に入ったら入ったで
あれがああだ、これがこうだ
外に出たいと思う日がくるんだ

自分はなんのために
飯をつくっているんだろうって
答えのない自問自答が繰り返される

完全にそっち側になれない
外が気になって外に出たくなる
外に出てしまったら終わりだ

2年間で、なにか変わるだろうか