僕はラブホのベットの中に案内されると間もなく千春のアナルを差し出された。
アナルにはおそらくインサートをすることがないだろうとツンと鼻がもげそうな異臭を放ち、
肥大しているまんこの黒ずみの上から睨まれているかのようだった。
ダージリンのような非常に香り高く、鼻を抜けるような爽やかさとは対照の位置にあった。
きちんと手順を守り丁寧に愛撫をしないと、決して演出すことのできない味わいだ。
一方のまんこは作ってから一週間ほど寝かせたダンキンドーナツのような酷い味がした。
僕はわずかに顔をしかめると、慌てて口の中の淫水をペプシコーラで流し込んだ。
「どうだったかしら?」とロバのような女性が言った。
僕は「最悪だったよ」と言った。
「アルカトラズの中みたいに閉鎖的で、だけれどもダストシュートの中のような暗闇で彷徨い、
永遠に迷い道を歩かされて不貞腐れた気持ちにしかならなかったよ」
「あなたって本当に変わってるわね」
「まんこが臭すぎるんだ」
「そんなことないわ」とロバは首を振った。「次は直接連絡してよ」
「直接? もうごめんだよ」と僕は言った。
ロバは僕に言った。
「あなたはとても後悔しているんじゃないかな?」
「後悔。どういう意味でだろう?」
「『デリヘル』についてだよ」
『デリヘル』と僕は初めて聞く英単語を読み上げるみたいに言った。
ロバはうなずいた。
「あなたはこれからも、ずっとそうやって失い続けていく。
何を手に入れても、あるいは何を手に入れた『つもり』になっていても、
そうやって永遠に零れ落ちる人生を歩んでいくことになる。
それはすべて『デリヘル』が原因だ。
あなたが『デリヘル』を通している限り、あなたの喪失は永遠に続いていく」
「喪失が続く」
「それが嫌であるのなら」と言うと、長い顔をしたロバは「延長しませんか?」と、
掌に唾液つけて擦ったような異臭と発酵したエイのような臭い息で鼻がもげてしまいそうだった。
「あなたは店を通してはいけない」
「どうやって?」
ロバは、そしてそれっきり二度と口を開くことはなかった。