刑法230条
公然とある人に関する事柄を摘示し、その人の名誉を毀損した場合に成立する(刑法230条1項)。法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金である。

徳義または法律に違反した行為をなした者であっても、当然に名誉毀損罪の被害者となりうる(大判昭和8年9月6日刑集12巻1590頁)。

本罪の行為は人の名誉を公然と事実を摘示して毀損することである。
本罪は抽象的危険犯とされる。つまり、外部的名誉が現実に侵害されるまでは必要とされず、その危険が生じるだけで成立する。

「公然」とは、不特定または多数の者が認識し得る状態をいう。「認識しうる状態」で足り、実際に認識したことを要しない(大判明治45年6月27日刑録18輯927頁)。
また、特定かつ少数に対する摘示であっても、それらの者がしゃべって伝播していく可能性が予見でき、伝播される事を期待して該当行為を行えば名誉毀損罪は成立する。

摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが要求されており、事実を摘示するための手段には特に制限がなく、その事実の内容の真偽を問わない。