バケツ女子高生の栗拾い(2)

栗林では、風に栗の木が揺れて、イガをまとった実が次々と落下している。

頭にバケツを帽子代わりに半被りに被って、鼻歌を歌いながら栗を拾い始めた。

時折風に煽られて木から落ちるイガが、私を直撃する。

しかし、バケツとPコートと軍手と長靴のおかげでダメージは無い。

軍手にトングを持って、長靴でイガを踏んで、実を出してカゴに入れて……。

思いのほか栗拾いは楽しく、夢中にになってしまう。

だが恐れていた事がが現実になってしまった。

突然バケツがずり落ちて頭にすっぽり被さってしまい、虚無僧のような表情の無い『バケツ人間』になってしまった。

薄暗いピンクの世界に視界と耳が塞がれて、自分の呼吸音だけが聞こえる。

何か言ってもバケツに反響して、くぐもった声が響くだけである。

自慢の茶髪ふわふわセミロング美貌が台無しだ(辛うじて頭を覆うバケツから茶髪ふわふわセミロングがはみ出ているが)!!

一瞬パニック状態になって、栗林の中をウロウロ彷徨ってしまった。

(落ち着け、落ち着け!!)

「…………はーっ、はーっ!!」

 狭まった視界で、泣きそうな表情で溜息を漏らす。