バケツ女子高生の栗拾い(3)

(バケツを持ち上げて半被りし直そうかな。しかし、バケツを半被りにすると、顔にイガが落下して怪我をする可能性もあるし。

ならば茶髪ふわふわセミロング美貌を犠牲にして、バケツを被った状態のままで栗拾いをした方が良いわ。)

バケツを頭にすっぽり被った状態のまま、私は気を取り直して、バケツの隙間から外を覗きながら、再び栗拾いを始める。

くぐもった歌声で鼻歌を歌いながら、栗拾いに夢中になった。

時折、「コツン、コツン」と、木から落ちるイガがバケツに当たる音が、バケツ越しに聞こえる。

夢中で栗拾いをしていたら、あっという間に時間がたっていた。

気がつくと夕方になっていたのだ。

ついさっきまで吹いていた風もピタッと止まって、穏やかな天気になっていた。

でも、カゴに栗を盛れるだけ盛って、大量にゲットした。大収穫である。

くぐもった声で、「やったぜ、こんなに大量に栗をゲット!!……今夜、ママに栗御飯を作って貰おう!!」

狭まった視界の中でフッと笑う。

ママやパパが心配して帰りを待っているだろう。

バケツを頭にすっぽり被った『バケツ人間』姿のままで、私は両手で手探りしながら、大量に持った栗の入ったカゴとトングを持って家に帰ったのだった。

だって、バケツを外して手に持っても邪魔になるだけで、バケツを被ったままの方が楽チンなのである。