>>121
(庭の主の言葉に、一瞬我が耳を疑う)
(まさかこの人が、求婚してくるなんて)
(「あ」という言葉を発するよりも早く、庭の主に抱きしめられる)

(耳元で信じられないような言葉を羅列され、思考が追いつくのに時間がかかる)
(私を理解……? 導く……? ……愛する……?)
(とにかく何か言おうとするが、口がパクパクするだけで)
(しかも庭の主に怪力で抱かれているため、身動きすることもできない)

……うっ。
(痛いところを突かれ、思わず涙が落ちそうになる)
(この人は知っていたんだ……私が泣きながら寝ていること)
(知らない人みたいな母さんの残像がずっと消えないこと……)

……うぅ。
(首筋に舌を這わせられ、小さな嗚咽とともに頬を淡く染める)

愛してるなんて……言わないでください。
私は弱いの……そんなことを言われたら、もっともっと弱くなってしまう……。
(一筋の涙を流しながら、彼の腕から逃れようと身をよじる)
(それでも体は熱を帯び、脈拍が高くなっているのを感じていて)