そうね。そうだったわね。
祥子も薔薇さまなのだし、私がいた頃よりはずっと立派になっているわよね。
……何を言っているの。
祐巳ちゃんがいるからこそ、祥子はお姉さまらしく振舞えるのよ。
薔薇様らしくいられるのも、祐巳ちゃんの力が大きいのじゃないかしら。
自信をもってちょうだい、祐巳ちゃん。
(紅茶を運んでくれた彼女の前髪を指先でいじって、瞳を見つめ返し)
ありがとう。遠慮なくいただくわ。
いい香り、それに美味しいし。
……紅茶を入れる腕も上がったのね、祐巳ちゃん。
(しばし香りを楽しんだあと、一口お茶を飲んでから納得したように頷いて)
そうなの。志摩子も成長したのね。
妹ができると変わるのかしら、祥子もそうだったしね?
祐巳ちゃんも早く妹ができるといいのだけど……あせることもないわね。
そう、元気で賑やかで、人の集まるような薔薇の館だといいわ。
(湯気をすかして孫へ語りかけ、卒業時の人波を思い出す)
(この子が薔薇様になったらどうなるのか楽しみだ、と思いながら)