んなぁ…今日は吹雪いてねぇな…。
(住処から顔を出したナナチは、寒さを防ぐための防寒具を着込んだ状態で雪の中を歩き出す)
(銃を肩に担ぎ、まず目指すのは階層の入り口が見える中継拠点)
(早朝から歩き出したナナチは、吹雪が無かったのもあって順調にその場所に到着することができた)
ぷはぁ…。
(拠点に貯蔵してある薪を使って火を起こし、鍋に外の雪と木の葉に木の実を放り込む)
(そのまましばらく煮込めば、少しぬるりとした液体が出来上がり)
(それをコップに注ぐと冷ましながら口にする)
(舌を刺激するような苦味と強烈な臭いがするが、それももう慣れたもので)
(逆に目が覚めるため、獲物を見つけるときには欠かさず飲んでいた)

…ん?なんだあれ?火…か?
(双眼鏡を使い、ゆらゆらと遠くで揺れる光を見つける)
(そこに誰か居るらしく、動物の肉や根菜類を並べて調理を行っているようだ)
(ここはまだ解明がされていないダンジョンの内部で、更にこの階層にたどり着いた者はほとんどいない)
(居ても寒さに倒れて死んでしまうか、野生の動物やモンスターに襲われるか…)
(寒さもあるはずなのに、石をかまどにして調理を始める人間など見たことはなく)
なんだあいつ…寒くねぇのかよ…。
(ズズ…とお茶を啜りつつ…)
んなぁ…できたできた…っ
(暖炉に入れていた凍った獣の肉が溶け、ほぼ生焼けのそれをはむはむと口に入れる)
…あいつ、料理作ってんのかぁ…?
(自分が作る料理は焼くか煮るか潰すか混ぜるか…、それ以外の調理法などしたことはない)
(双眼鏡で様子を眺めつつ、何をしているのかを観察し続ける)


【あいよ、じゃあ観察させてもらうぜぇ】

【りょ〜かいだ、ならかぶってることにしてくれ】
【オイラが触って、剥けちまっても良いしなぁ…】
【オイラの料理よりは美味いかもしれねぇしな】

【そうだな、オイラも出来るだけ待ち時間に食べてくるようにする】
【そうすればほとんど休憩なしでいけると思うからな】
【オイラはそろそろメシの時間になりそうだから、待ってる間に食べてくるぜぇ】