>>701
どちらかというと僕は(僕の機能は)かなり匂いには敏感なようだ。
特に―― いや、なんでもない。 ダンジョンでも何かと便利だしな。
(特にナナチの匂いには、と言いかけてしまうが思いとどまり、探検者としての特技に置き換えて説明しておく)
温泉は独特の匂いがするし、どちらかというとその臭気は強いほうだ。
―― そうか横穴に入ってからの微かな暖かさと、ナナチがここで生活できる理由が判ってきた。
大抵の温泉は身体が温まるだけでなく、怪我の治りも早くなるし……これはいい所に構えたものだ。
(周囲が雪原の階層で拠点にするには、温泉が近くにあるとうってつけだ)
地方によっては熱源を利用して食材を燻す加工方法もあるくらいだからな。

うむ、わかった。
温泉まで使わせてもらえるならお安い御用だ、僕の取っておきを披露しよう。
(ダンジョン探索に出た先での調理は慣れており、レグの得意とするところ)
(ここで役に立ててナナチの信頼を得られるのなら発揮しない手はない)
(さっき洞窟内をざっと見渡したが、幸いナナチは道具も場所も揃えてくれている。あとは―― )
おお、材料も豊富にあるじゃないか……選ばせて貰おう。
(ナナチに貯蔵庫をあけて貰うと、その中に仕舞ってある材料を見ては、
 レグの頭の中にあれこれとレシピが浮かんでくる)
これと、これと……卵もあるのか。 肉料理はいろいろ作って試していそうだから、ここは――
(何の卵かはわからないが料理には使えそうなのと、
 陶器に入っていた液体が糖蜜であるのと、袋に入ったままの小麦粉まで発見して)
ふむ。任せてくれ、きっとナナチが見たことのない、かつ驚きそうな物が思いついたぞ。
(得意な調理に目を輝かせて、食材を倉庫から出して次々とかまどとテーブルへ並べていく)

まず鉄板のようなものを……この鍋がいいな。
(かまどに壁に掛かっていた平底の鍋を火に掛け始め、食用油を馴染ませると、
 それを熱している間に動物の乳と小麦粉、卵を丸底の容器で混ぜ合わせていく)
(出来上がりをふわふわとしたものにするため、それほど激しく掻き混ぜずにゆるいペースト状にしたものが完成)
これを……
(熱した平底鍋に、ここは経験から綺麗な丸になるよう垂らし込んで)
(火勢を弱めて熱した生地の表面に穴がぽつぽつ出来始めるまで待つ)
(頃合を見て鍋を瞬間的に浮かせて生地をひっくり返すと、
 ナナチの見ている前でこんがりと狐色に焼けた裏面がひっくり返して)
(甘い匂いがよりいっそう洞窟内に漂い始める)


【お待たせ。調理終了まで書き切れなさそうなので、途中で投下することになってしまった。】
【ネタバレになってしまっているのがちょっと悔しい所でもあるが…】
【風呂の前に食事で了解した。 食材や調理器具はこっちの想像でいろいろ使わせてもらっているぞ。】