>>527

ふぅ〜っ。
(車窓を流れ去っていく町並みをぼんやりと眺めていると、重い溜息が無意識の内に漏れる)
(希望していた仕事の担当につけず、任されたのは同期の自分よりこれまでの実績の劣る同期の男性総合職)
(課長に理由を聞いても「経験を積ませたかったから」と何となくはぐらかされて、怒りや失望をどこに向けて良いのか悶々としてしまう)

はぁ〜。
(車内に視線を動かせば、いつもはもっと空いている時間帯の筈が、人身事故のせいで遅れていて車内は朝のラッシュ時間のよう)
(ギュウギュウ押される不快感にも、また自然と嘆息が漏れてしまう)
(どうせスマホに夢中で注意を怠った誰かが電車に接触したとか、最近よく聞くような理由に違いない)
(これだけ混んでいると、本を読む隙間すら作るのは難しいし、出来ることといえば好きな音楽に耳を傾けて)
(今日一日の嫌な出来事を頭の中から追い出すことくらい)
(それにしても、ここまで扉に押し付けられるようにされるとうんざりしてしまう)

……はぁ〜っ
(評価されないのなら転職しようかな。そんな考えがふと頭をよぎる)
(お給料は少し下がるけど、仕事で知り合ったあの会社の部長さん、私のこと評価してくれて熱心に誘ってくれるし)
(全く無防備で音楽を聞きながら、そんなことを考えて居た時)

(ボディーラインのはっきりと分かる淡いブルーのレースがついたタイトスカートにクリーム色のカットソー)
(スカートと同色の五分袖のジャケットという出で立ちの自分の背後に、痴漢が静かに近寄ってきていることなど夢にも思っていなかった)


【こんな感じの出だしにしてみました。痴漢の描写をどの程度詳しくするかはそちらにお任せします】