>>601
訳の分からない欲求不満が爆発して数日後、媚薬の影響も翌日には残らずいつもの日常を取り戻したある日。

あれっ!?
これ……、いつの間にか無くなったと思っていたお気に入りの下着。
でも、ベランダを探した時には確かに無かったはずなんだけど……
(朝、出社の前に通販で購入した商品を梱包していたダンボールを出しておこうと思って、ベランダに出た時)
(前に出したダンボールの束の片隅に、無くなったと思った細かな刺繍のされたローズピンクの下着を見つけ首を傾げて)
なに、これ?
三階だから外に干しておいても盗まれる筈もないし、私が気づかなくてしばらくここにさらされていたの?
(拾い上げ手に取った下着は、糊を固めに掛けたようにカピカピに乾き固くなっていた)
(なにか異臭を感じたものの、無くなったことに気付いてからも一週間以上経っていたこともあり)
(その間に雨の日もあったりして、濡れたままあまり硬く搾らなかった雑巾が臭くなるように)
(ベランダに放置されていた下着が少し臭うのもそのせいだと思っていた)
(そのまま、洗面所にある汚れた下着や洋服を入れておく洗濯かごに、ベランダで拾った下着を入れて)
(時計にチラリと視線を移せばあまり時間の余裕はなく、効率よく準備を終えるとしっかりと戸締まりをして会社へ向かう)


『まさか、最近太ったなんてことはないわよね。
 いつも誰かに……いえ、男の人に見つめられている気がする。
 それも、なんか身体に絡みつくような不快な感じの……』
(自分の自慰行為がネットの裏掲示板で晒されているとも知らず、女性専用車両へ向かう自身の姿を凝視する男性の視線に気付いて)
(最初は気づかないうちに太って、もともと身体にピッタリしていたスーツに下着のラインが出ているのでは疑ったが)
(先週体重計に乗った時には1Kgほど痩せていてそんな筈はないと思い返す)
(しかし、男性の欲望を漲らせた露骨に自分を凝視する視線に、なにか不気味で今までとなにか違う落ち着かない不快感に襲われて)
(美しい顔の眉間に僅かに皺を浮かべて、殊更にツンとすました隙きを感じさせないクールな表情でさっそうと歩き)
(女性専用車両へ乗り込むとホッと安堵の息を吐き、少し表情を緩めリラックスして会社へ向かう)


ハッ、ハッ、フゥ、フッ……ハァ、ハァ……フッ、フッ……。
(ランニングマシーンで音楽を聞きながら走っていても、どこか周りにいる男性の視線が気になり完全には集中し切ってはいなかった)
(視線を気にしないよう、それを振り切るように懸命に走れば、ポニーテールに結った髪が大きく左右に揺れるのに合わせて)
(大きめな胸も上下に激しく弾んで、本人の気持ちとは反対に異性の視線を集めてしまい)
(シェイプされ引き締まったお尻は交互に脚を前に送る時に、反対の尻肉が視姦しているストーカーに向けて突き出される)
(しばらく走り続ければ、スポーツブラの上に着たTシャツにも汗染みが胸の上辺りと背中にはっきりと浮かび上がって来て)
(そして自覚はしていなくても、成熟した女性の化粧の香りと混じった甘い匂いが漂って周りの男性を刺激してしまう)
(何人かの若い男性は莉緒から股間を隠すようにどこかへと去っていっくが、友人に声を掛けられて気づかずにいた)

きゃぁ〜、子猫ちゃん可愛い! 良いなぁ、私のマンションハムスターより大きな動物飼うの禁止だから……
今度、遊びに行っても良い? 
ありがとう。また、電話するね。
(友人は莉緒より10cmくらい背が低いが、胸は莉緒よりも豊かでFかGカップくらいは確実で)
(クールビューティーな莉緒とは異なり、アイドルを思わせるような可愛い感じの美人であった)
(一般職の会社員で実家で暮らす彼女は、定時に上がり一汗かいてちょうど帰る所で莉緒を見つけ)
(取り出したスマホで莉緒に見せているのは、知り合いから引き取った最近飼いだした雑種の子猫の写真で)
(それを見た莉緒は、今まで会社でも家でも見せたことのないような優しく羨ましそうな表情でそれをしばらく魅入っていた)
(遊びに行く約束をすると友人は帰って行き、莉緒はもう一度表情を引き締めてランニングマシーンでのトレーニングを再開する)
(しばらくすると、離れていた間に媚薬が混ぜられたスポーツドリンクを何度か口にしていく)

【続きます】