>>606-607
なんなのこれ?
よく見ればロゴも違うし、手触りもちょっと違う。
それに、なんで胸パッドが無くなってるの? プールに入る前には確かにあったのに。
色もくすんでいて……。
(羞恥と混乱が女子更衣室へ逃げ込んで、少しずついつもの冷静さを取り戻しよく水着を観察すれば)
(右胸に入ったロゴのフォントや大きさも微妙に異なり、マークも輪郭が曖昧だったり)
(表面のエンボス加工や内側のスベスベとした滑らかさも、よく似せてはいるがはっきりと違っていて生地も薄く)
(あったはずの胸パッドは完全に消えてなくなり、クロッチも小さく薄く頼りない感じで)
(もし下も透けていたらと考えると、ゾッと背筋が寒くなるのを感じていた)

(誰がすり替えたのかを考えてみるが、最近身の回りで起きている異変のせいなのか)
(会社内で誰かが嫌がらせ目的でこのようなことをしたのか判断がつかず、『ハァ』と重く深い嘆息を吐く)
(考えても答えはすぐには出ないので、ジムまで着て来たレディーススーツに着替えて気を取り直して帰路へ着いた)


ん!?
(ぼんやりと車窓の風景を見ながら、先程のこと、最近の身の回りの不気味な変化について考えていると)
(電車の揺れに合わせるようにお尻やとヒップと腿の付け根、腿に明らかな男性のゴツゴツとした硬さの手が当たるのに気づく)
(中学や高校の頃ならすぐに痴漢と決めつけていただろうが、当たる手の感触が手の甲であることも分かり)
(帰宅のラッシュとも重なっていたせいもあって、ほとんど気にしてはいなかった)
(しかし、手の甲が時折強く太腿やお尻辺りに触れてくると、そこから微かな蠱惑的な疼きが背筋を駆け上がって)
(それがこの前薬を盛られた時の甘く切ない快楽を思い起こさせ、思考を途切らせてさらなる困惑へと追いやられていく)

スゥー、ハァァ……スーッ……ン、ンッ……。
(ゆっくりとながら着実に媚薬が効果を顕し始めているのに気づくはずもなく、人熱れに酔ったように感じて深呼吸を繰り返す)
『身体が火照ってるみたいに熱い。それに…………アソコが……ムズムズして……』
(ジムに寄った日には血行が良くなるのか、たまに身体が火照る時がある)
(特にヨガ教室に参加した時はその傾向が強かったが、今日はヨガ教室は休みで)
(あんな恥ずかしいことがあったせいなのか、自分でも分からずにいて)
(しかも、女性器が痒いのとは違うなんとも言えない、勝手にヒクヒクと疼くような感覚に戸惑ってしまっていた)
(汗の雫が肌に浮くほどでもないが火照った身体は薄っすらと汗を帯びて、成熟した大人の女性の……牝の匂いを辺りに振り撒き)
(密かにスカートの内側を撮すように向けられたスマホには、太腿を何度も擦り付けつ仕草と)
(電車の揺れに踏ん張るために脚を広げた時には、バッチリと刺繍で飾られた淡いローズピンクの下着が写り)
(ちょうど陰唇が触れている辺りに、小さいがはっきりと愛液による染みが薄っすらと浮かび上がっていた)

えっ!! ちょっと……嫌ッ……やめっ……ンンゥ……アッ……。
(電車が何かの拍子で大きく揺れれば、全く予想していなくて身体が大きく揺れて)
(ヒールを履いた足で踏ん張ろうとして脚を開くと、先程まで腿に当たっていた手がスカートの中を探るように腿に触れてくるのを感じる)
(驚きにビクリと身体が動き、緊張に身体が強張るが、何度かこういう状況は体験してきていて)
(斜め後ろを振り返るように少し鋭い声で窘めようとするが、痴漢は完全に死角に隠れていて確認できず)
(そればかりでなく、腿の滑らかな肌の上を痴漢の汗ばんだような手が股関節に向けてすっと這い登れば)
(嫌悪感だけでないゾクッとするような違和感が背中を擽るように駆け上り、少しだけ鼻に掛かったような声を上げてしまう)
『全くなんなの? 今日はついてない! ジムのことといい、痴漢といい……いい加減にしてよ』
(しかし沸々と湧き上がってきた怒りとは関係なく、身体は痴漢の手がもたらした官能の焔に反応して)
(徐々に効果を見せ始めていた媚薬と相俟って、ヒクッと子宮が疼けば膣襞に浮き上がっていた蜜が滴り落ち)
(膣口から溢れてじっとりとショーツのクロッチに今度ははっきりと染みを浮かび上がらせていた)