>>613の続き
『こんなのじゃ……満足……できない……。
 もっと……もっと……すごいの……欲しい……』
(より強い媚薬がアルコールの力を借り最高の効果を示して、それに翻弄されるまま女の快楽を貪る行為は止む気配を見せず)
(ショーツに手を掛けると一気に太腿を滑らせ、脹脛を抜きとうとう全裸になるが)
(狙った訳ではないが適当に投げたショーツが、パソコンの画面に引っかかりカメラを目隠ししてしまう)
(莉緒はテーブルの上にあった制汗剤を掴むと、躊躇なく膣に挿入して激しく自慰を再開させる)
(パソコンにお尻を向けたままの自慰は、本来なら丸い制汗剤の缶が出し入れされる女性をバッチリ映したはずだが)
(莉緒の悦びの嬌声とクチュクチュと性器が立てる淫猥な音だけを拾っていく)
(媚薬に導かれた莉緒の自慰は体力が尽きて、ベッドに全裸で崩れ落ちた日が変わった深夜まで続いた)
(流石に翌日は自慰のし過ぎと寝不足で体調不良になり、有給休暇を取り外出せずに一日を過ごした)
(それから、最近自分が懸念していることを友人に話すと、少なくとも鍵は変えた方が良いとアドバイスされてそれに従い)
(すぐに業者を呼び鍵を変えて、信也の侵入は不可能になったかのように見えた)
(それから半月は静かな生活が戻ってきていたが……)

ふぅ〜っ、あの時のあれ……何だったんだろう?
彼が留学してからご無沙汰だったから、欲求不満が溜まってたのかな……。
智美がくれた肌が十代の頃みたいにスベスベになるっていうこのサプリ、本当に効果があるの?
(あの強烈な媚薬の効果で激しく抗えない官能的な自慰を体験してから、莉緒の思考はどこかあの快楽を引き摺ってしまっていて)
(仕事はいままで通り完璧にこなしてはいるものの、ふとした空き時間が出来るとあの時のことを思い出し)
(自分の淫らな行いに嫌悪しつつも、頬を紅く染めてしまってぼんやりしていることが多くなっていた)
(今や信也の忠実な下僕となった智美は、莉緒に酷いことをしないとの約束のもと)
(信也を疑いつつも弱みを握られ抗うことが出来ずに、莉緒に媚薬入のサプリメントを手渡していた)
(このサプリメントは本当に美肌効果もあるのだが、効果が弱い媚薬がごく少量混ぜられていた)
(毎日摂取しても習慣性はなく、常に発情状態にしない代わり、性感帯の感度をより敏感な状態に引き上げる効果と)
(莉緒のように媚薬が効きにくい体質の女性にも、アルコールなしに他の媚薬の効果を増進させる効果を持っていた)
(効果に疑問を持ちつつ、サプリの瓶を指で転がしながらも、十代の頃のような美肌になると聞かされれば誘惑に勝てるはずもなく)
(数日前から決められた個数を飲み始めていて、少しだけ効果が現れているような気もしていた)

(水着の一件以来、足が遠のいていたジムに、その日はレディースデーで)
(男性は必要最低限のスタッフしかいないと智美から聞かされ、莉緒はほぼ三週間ぶりにジムを訪れていた)
(莉緒より少し遅れてジムに来た智美は、云われるままに莉緒のロッカーから新しいマンションの鍵を盗み)
(合鍵を作って信也に渡し、何食わぬ顔で鍵を元に戻してから莉緒に合流していた)
「ねえ、莉緒。こんなに素敵な身体してるんだから、一人でアメリカに行っちゃった彼に操を立ててるなんて勿体無いよ。ほらっ!」
ン、ンンゥ……擽ったい……アッ、ヤッ……ハァ……止め……て。
(全てのクラスが終わって無防備に着替えていた莉緒の背後に智美が抱きつき、学生の頃のみたいなスキンシップをとって来て)
(ただ、それはサプリメントの微弱な媚薬効果を十分に考えたもので、強すぎない程度に計算しつつ莉緒の胸や乳首、女性器を悪戯して)
(背筋を駆け上がる甘いが強くない性的刺激に、前回の激しい自慰で身体が覚えてしまった期待しているような快楽は与えられず)
(ほぼ自覚もないまま、もどかしい気持ちを抱えながら身を悶える)
「本当に勿体無いな。これプレゼント。家に帰ってから開けてね」
(信也の指示とはいえ、不本意で心の内で謝りながらディルドーを渡した)