>>46
くっ……うわあっ!! はぐっ……くはっ……!?
(追いつかれ、不意に地面に制圧されて、情けない声を上げて潰れてしまう)
(女とはいえ、年上の珠希の膂力には敵わず、それでも芯から込み上げてくるかの
 ような震えは止まらず、もがき続ける)

せ……せっく……?
(その生々しい語感が、少年の心を呪縛した。背中に預けられる珠希の重さと
 温もりが、明らかな戸惑いとなって心臓の鼓動を乱していく)

で、でも……ぼく、はじめて、だしっ……
それに、いきなり、そんなこと言われたって……くうっ
(珠希の囁きが動揺を誘う。頭の中は予期せぬ展開に沸き返り、足りない酸素を
 求めて酸欠の金魚のように空気の固まりを飲み込む)

…………他に、誰かいるんでしょ?
そ、それでこうやって……ぼくを、笑い者にしようって……そうに決まってるっ
(震える声に混じる、卑屈な色。悔しげに拳を握りしめると指の間から砂粒が零れた)