…………え?
(不意に軽くなったと思えば、優しげな手つきで助け起こされ、ぽかんと口を開けて
珠希の顔を見つめるばかり)
…………ほ、ほんとうに? あっ……
(珠希の染み通るような真摯な言葉が、少年の胸を打った。見た目よりもさらに
幼い、幼児のような曇りのない黒い瞳で珠希を見返す。手を重ねられると、
びくんっと怯えて反射的に手を引っ込めるが、すぐに自分から手を珠希に預けて)
ぼくは……その、ぼくは……
…………誰かに包み込んで欲しくて……誰も、僕を知らない人に……
(自分の姿を写す瞳に魅入られて、頬を染める。直視に耐えきれずふいっと目を下げると、
珠希の濡れた、艶やかな唇に捕らえられた)