これはこれは御身の情けに感謝しなくては。
(少しだけ酔が冷めたのか鋭い牙に気付き小さく身震いする)
鱒に合う酒とな?
それならば白の葡萄酒がいい。それも酸味が少なく飲みやすいものがな。
(ゆっくりと立ち上がり酒瓶を吟味し一本選ぶ)

この土地の酒ならばこれが最上の酒になるな。
しかし、これは他の土地の比べれば些か品がない。
そこは何卒ご容赦を。
(コルクを抜き、グラスへ音を立てずに澄んだ白葡萄酒を注ぐ)