>>321
(煙の中から現れた、大きな影)
(右肩から左手脇腹にかけて、一撃を見舞われた為についたであろう傷が痛々しく残っているが)
(流れる血の量、そして何よりも鬼の表情から、それが決定打に至らなかったことを知ることだろう)

おおぉりゃあああッッ!!

(繰り出されたのは、ただただ勢いをつけて振り抜く右拳の一撃)
(彼が反撃の、そしてとどめの一撃に選んだのは、鬼らしいシンプルな力づく)
(しかし、その一撃の重さは、霊気を使い果たして受けきれるような代物ではないこと)
(何よりも、彼女本人が良く知っていることであろう)

(……荒れ果てた裏山の頂上から、少し降りた場所にある御堂)
(小さく整備こそされていないが、なかなかしっかりした造りのこの場所に)
(激突の末に打ち破った戦利品を担ぎ、鬼が意気揚々と現れた……)