(寝過ごして慌しい朝)
(パンを焼く暇もなく、アプリコットジャムを塗っただけのそれを食べながらネクタイを締める恭一)
(すぐそばにある飴色のチェストの上にはポートレートが)
(古めかしい真鍮額には家族の写真)
(高校生の恭一と父母、兄の後ろに隠れるようにして小さな弟が顔を覗かせている)
(背後に桜の咲いた木があることからおそらくは入学式なのだろう)

(銀の彫金額には弟の写真)
(ぶかぶかの中学生服を着て、はにかむように微笑む風貌はかすかに美輝に似てるだろうか)
(背後に写る木は枯れている。春はまだ遠く冬枯れの景色の中、色彩はわずか金ボタンと人物の顔色)

(その隣にはパステル調の木枠が2つ。共にお正月、大家さんに撮影してもらった物だ)
(淡いイエローは着物姿の美輝と二人で。グリーンは大家さんを交えた3人で)
(タイミングが悪く、峡一だけまぶたがおりてしまっている)
(まぬけな写真だが、みんなで笑ったいい思い出だ)

(それをちらりと見ながら峡一は言う)

いってきます。

(峡一は部屋を出て施錠する)
(ふと見ると、見下ろした隣の家の庭木に紅い印)

あれ…?梅が咲いてる。
もうそんな季節なんだなぁ。
(ほんのりなごむが、時間が無いのを思い出し、慌てて駆け出した)

【おへやのみなさん、ご無沙汰してます】
【最近あまり時間が取れない日々が続いております】
【時間が有れば顔を出したいとは思っていますが、ちょっと難しい状態です】
【美輝も橋爪のおじいちゃんもこちらのことは気にせず、マイペースでお話を進めて行って下さい】
【時間が取れたらまた顔を出しに来ますね】

【置きレスですが、それではまた】