>>512
(高校生可のアルバイトを探し求め、このお屋敷に辿り着いて今日でちょうど一週間)
(仕事の内容は清掃、洗濯、夕飯の支度や買い出しなど、家でやらされている事の延長線にあるものが多くて、難なくこなせている)
(その割に時給はかなり良くて、最初は何か裏があるんじゃないかと多少なりとも警戒はしたけど、今のところ特に何も起きていない)
(そして研修が昨日で終わり、今日からは実際に人が使っている部屋の清掃やベッドメイクを任されるようになった)
(部屋の清掃は部屋ごとに立ち寄る時間が決められていて、先輩方によると申告された時間帯に手早く片付ける必要があるそうだ、もちろん誰かがいるようであれば時間を改めて行う必要があるとのこと)

(今日はまず〇〇という人の部屋から、屋敷に滞在している男の人の部屋らしい)
(粗相をせぬように熟読すべしと指示された資料の、屋敷に関係のある人物の名前や顔写真、立場などが載せられた部分に今一度目を通して、指定の時間を待つ)
(しばらくしてから、給仕服に着替え、掃除用具と替えのシーツを手に指定された部屋の場所へと向かった)
(部屋に入る前には4回ノックを行い、念の為用件を声に出す)
「お部屋の清掃に参りました、〇〇様はいらっしゃいますか?」
(鍵は持たされていないけれど、今日は基本的に鍵の掛けられていない部屋を任されている、数拍待ち返事がない事を確かめた後、ドアノブに手を掛け、部屋へと足を踏み入れた)
「失礼致します」
(部屋の中には誰もおらず、教わった通りに部屋の清掃を行ってゆく)
(そうしてベッドに手を付けようとしたその時、カチャリとドアノブの回る音が聞こえた)

(うぇ…1回目からタイミング悪いなぁ…)
(現れたのは他でもないこの部屋の主であり、頭を下げ定型文を告げる)
「申し訳ございません、〇〇様、今すぐに退室致します」
(おおよそ写真通りの男性であり、若くはないがそれ程歳を取っているとも感じない、3,40歳くらいだろうか、顔はまぁ普通)
「あ、ごめん……掃除中だったんだ……でもこれで済むから。」
(〇〇さんは私を一瞥すると、そそくさとベッドの側に置いてあった箱から何かを取り出し、こちらに声を掛けた)
「じゃあね、いつも掃除ありがとうね」
(私は心の中で苦笑いしつつ、会釈を返す)
「勿体ないお言葉です」
(足早に部屋を去った〇〇さんを尻目にベッドへ目を向けると、箱から何かが飛び出している事に気付く)
(これって…)
(…ついさっきまでは気にも留めていなかったけど、どうやらあれはコンドームの入った箱だったらしい)
(ゴミを集める時に、くず籠から匂った何とも言えない臭いの原因って…これ?)
(当人からもそれに近い臭いを感じた気はしたけど、持って行ったという事は即ちそういう事なのだろう)
(じゃあ相手は…という考えに至った所で、次の部屋の時間の事を思い出し、あからさまに箱からはみ出したそれを中へ納め、残りの作業に取り掛かる事にした)

(…バレそうにもないし1つくらい持って行っても…)
(…いやいや、止めよう)

(清掃を終えて、部屋を後にする、急いだ甲斐もあり時間には少し余裕があった)
(しかし、次の部屋へ行く前に、一旦詰所へ引き返す必要がある)
(ゴミ袋、取り替えたシーツ、多少なりとも汚れた各種掃除用具)
(手押しの台車か何かがあれば纏めて運べるし一々戻らなくてに済むのに、と一瞬考えたけれど、階段の存在を思い出しその考えは頓挫する)
(………)
(こんな時間からあの人は……してたんだろうか?)
(相手はやっぱり先輩の誰か?まさかお嬢様とか…いや女の人が相手とも限らなかったりして…)
(…XLって…どれくらいのサイズなんだろ…逆にSってどうなの…?)

(普段はあまり現実味を持たないその行為が、自分のすぐそばで行われているという事実)
(つい思い起こし、考えを巡らせてしまいながらも、詰所へと向かった)

【〇〇様呼ばわりを続けるのもなんですので、お名前も教えて頂けると嬉しいです、重ね重ね申し訳ありません】
【顔にの評価に関してまぁ普通としましたが何か指示があれば以後変更します】
【流れに関しては〇〇様の一存にお任せします】