>>168
(昼休みの空き教室が2人の待ち合わせの場所だった)
(制服をきっちりと着込んだスラリとした長身の少年が、空いたドアの前まで歩いてきた)
(少年はそこで、自分の左右に縋り付かんばかりに並んでいた二人の少女に、なにやら)
(微笑みながら耳打ちする)
(少女たちは、華やかな笑い声を響かせ、スカートの裾をなびかせてそのまま廊下の向こうへ)
(立ち去っていった)
(少年はそんな少女達を見送ると、紫依の待つ教室のドアを潜った)

…やあ、魅羽。
いつも時間どおりだね。

どうかした? ちょっと怖い顔、してるけど。

(派手でなく、かといって年寄りくさくもないデザインの眼鏡を片手の指で直しながら、)
(どこか暗い表情の紫依を見詰めた)


【待ち合わせ場所、こんなのでよかったかな…】
【うん、いいと思うよ】
【こちらの希望ももう少し具体的に考えてなるべく伝えるようにするから】