(世の中がどれほど進もうと扱う人自体はさほど変化は無い)
(当然且つ残念ながらそれは犯罪にも適用される事となる)
(勿論、内容の悪質化や技術の流布による一般化など問題そのものは変化していた)
(そうした犯罪を取り締まるのは警察の仕事であり、日々身を危険に晒しながら犯人を追っていた)
(ひとりの女がセキュリティーシステムが完備されたマンションに入って行く)
(エリート捜査官として世に出て、幾つもの事件を解決してきたが、女故か昇進はままならず)
(また自身がマネージャー的仕事よりもプレイヤーとしての特質もあって、未だに捜査官として働いていた)
(仕事そのものには誇りも自負もあったが、承認欲求が満たされないのも事実であり、)
(それは年を追う毎に独断専行の気として現れていてその事が余計に昇進は阻んでいた)
(もっともキャリアと名目上の地位はあるので権限がそれなりにある、というのもまた厄介な事だった)
(エレベータを昇り、自室に入るとバッグをテーブルに置くと端末を起動させて軽く今日の報告を書く)
(現在追っている犯人……VRMMO「パーフェクト・エデン」内で女性を犯し、調教し、風俗に売るなどの犯行)
(どういう手段によるものか警察内に置いた端末カプセルからのログインではまるで痕跡が辿れなかった)
(禁止されてはいるものの自分の個人IDでゲーム内に入って怪しい所を探すしかない)
(元々、ゲームそのものは持っていた事もあり、禁じ手を使う事に躊躇いはなく、それはこれまでの独断専行の傾向を示していた)
さて、これで見つからないと実質、お手上げなんだけれど……。
女性を食いものにする犯罪者なんて碌な奴じゃないわね、お目に掛れると良いけど。
(そう独り言を言いながら別室に置いたカプセル内に帰宅したままの姿で入るとバイザーを被りスイッチを入れる)
(「パーフェクト・エデン」のメインフィールドにその姿が現れる)
さて、まずは依頼を確認するのが常道ね。
(大きな街の中、一応の自室として確保してあるワンルーム内に現れたその姿は現実をほぼ反映していた)
(髪型はポニーテールになりやや活発に、見た目から警戒を与えない様にややおっとりとした風貌)
(チャイナドレスを基調とした闘衣は腰に幅広のベルトを締め、更に細身剣を下げ、レザーアーマーを着ていた)
(そのまま通りに出るとギルドの掲示板を確認する……とすぐにおかしな依頼を発見する)
これは……?緊急ならすぐにでも、だけど女性キャラひとりだけ?
報酬の高さといい、難易度といい、これは当たりかしら……よし。
(思い切るとその依頼を受領するべくギルドの担当に話しかけ、依頼を受けると「廃城」へ向かって移動する)
(そもそもそんな地点があったのか、というまで頭が回らなかったのは当たりを引いた昂揚感からか)
(移動を終えて辿りついたその廃城に乗り込むとオークが数匹、そして色違いのオークを発見する)
……これが依頼対象ね。
【それではよろしくお願いします】