首から下げた光源を掲げながら、一層下に下る階段を見つける。
ダンジョンにもぐってからおそらく丸一日がたっているだろう。
一人での探索ならば、ここで切り上げるところだが逡巡する。
思った以上に実入りが少なかったこともある。
もう一層だけ…そう思って階段を下りる。
「…?嘘…」
幼子の鳴き声のようなモノが耳に入る
普段であれば、罠だと思うべきもの。
けれども、ここまでモンスターの密度が低い迷宮ならば子供が迷い込んでも…
右手にサーベルを抜いて、声の聞こえるほうへ聞こえるほうへと歩を進める。
普段よりも足早に
まるで、何かにひきつけられるかのように
…
……
二、三度の遭遇戦があったものの、苦戦を免れたことに感謝しながら声の聞こえるほうに進む。
岩肌の傍でうずくまる子供の姿。
「ああ…よかった…聞き違えでは無かったんだね。大丈夫かい?」
小柄な身体にまとわれたローブは、薄暗がりの中で子供が纏う外套と見間違っても仕方が無かった。
その泣き声が、自分を呼び寄せるものとも気がつかず、無用心に歩を進めていった。
【さすがに夜明けまでは無理です(苦笑)