命乞いをする声に、「安全だよ」と伝えるように、サーベルを手放し光源を高く掲げる。
安心したように走ってくる少年を迎えるように腰を落とし、腕を広げる。
心のどこかに、この体格差があれば、ダガーで対応できる…そんな油断があったのは否めない。
涙を流す少年を安心させるように、目を合わせて微笑む…
その瞬間少年の目が紅く光る
まるで麻痺毒にやられたかのように身体がしびれ、力が入らなくなる。
「なんで…?」
少年の力は大して入っていないはずであった。
にもかかわらず、自分はあっさりと回廊の床に転がされていた。
腰に挿したダガーを抜こうとのろのろと腕を上げようとする
いつもなら一呼吸で出来るその動作が、まるでナメクジが這うが如き遅さで、やっと柄頭に手をかけるのが精一杯であった。
【はい、よろしくお願いします】