>>57
(お互い惜しむように舌を離せば、)
(やはり男女を繋げる卑猥な糸をつくり、ふつりと途切れた)
ん、…ん、ぅ?
(これみよがしに舌舐めずり、自分のターンだというのに起きない彼女に口端を上げ)
負けじとはしても、ンなこと解ってて受けたんだろう?
……最初から負けた時のことなんか、聞いちまって――
(事実上の敗北宣言に赤く染まった頬を見つめ、艶やかな喉に手を伸ばし)
(猫にでもするように指先で擽り、今更触れるだけの甘ったるい口付けを濡らした唇へ)
…――ン。
(引き寄せられるままに胸板を貸し、それだけで十二分に甘えた仕草だと、思う)
(堪えがたい衝動に、いくら隠してもどちらかは見える耳へ、噛み付いた)
……暑いんじゃ、ねェの?
別に……汗だくセックスも、多分、堪ンねぇけどさ
(身体を離すのを惜しみつつも、男はのそりと大きな身体を動かして立ち上がる)
(少し逡巡した後、そんなことを呟くと――わざわざ姫抱きで移動しようとするのは、「彼女」へのサービス)