(背後に急峻な深山を望む鬱蒼とした老杉の森、その中にかの神格を祀る神社がある
いわゆる秘祭のたぐいで、神社を含むこの僻村の住民以外は存在すら知らず、そんな神がいると他言することも厳しく禁じられ
ましてやそれが“実体を備えた神”で、古くから決められた年毎に特別な訓練を施した巫女を、供物として差し出していることも決して外には漏らされない)

そろそろか。潔斎に時間をかけているようだが…

(拝殿から少し離れた、倉庫と呼ぶには頑丈過ぎる小屋
その中で灯明を無数に灯し、神官が端座して巫女の来るのを待っている)
(部屋の奥には崇拝する神格の異形を象った像が安置され、その両脇の壁には作り付けの棚があり
さまざまの訓練に必要な器具類が整然と並べられている)