(金髪ショートの髪型に露出の多い格好と)
(明らかに目立つ容姿の女を付ける人影があった)
(この時点ではまだ道を同じ方向に歩いているだけの男であるのだが)
いい女だから付けてみたけど、暑いな
店にでも入ってくれればいいが……
(着ていたTシャツに汗が染み込むのを鬱陶しく思いながら後を付ける)
(愚痴を言いながらも、手で扇いだりの目立つ行動は避け、店に自ら避難することもなく)
(歩調を女に合わせてしっかり付いていくのは、その偏執的な性格故だろうか)
お、やっと入るみたいだ
水着ね……へぇ
(複合施設に入ると人混みに紛れてさらに目立たなくなり、女を尾行していくと)
(水着ショップに入っていく光景を目にして、少し遅れて男も入店)
1-5
(男は女が店員と話したり水着を物色している近くで、同じように水着を見ている)
(女物を見ていると店員から不審な目を向けられるが、)
「彼女に送りたいんですけど、この夏の流行りありますか?」
(などと聞いて、その場に居座り続け)
(店員の話を聞き水着を見ている振りをしながら、聴覚や視覚は女の見ている物やその会話に集中している)
6-0
(男は女の側には行かず、向かったのは水着ショップ内の試着室)
(適当な水着を手に取り試着室に入って、何かを確かめてすぐに出てくる)
(その顔は少しだけ浮かれているようにも見えた)
(男はその後、周囲の男物の水着を眺めながら、女が試着するかそれとも出て行くかを見張る)
【いえ、始めて頂いて大丈夫です】
【改めてよろしくお願いします】