帰ったのはいつもよりも遅い時間でドッと疲れた気がする。
夕食の準備を終えて食事を済ませた後はお風呂に入る。
昨日に続いて今日も早く寝るつもりだった。
「あ、そうだ」
その前に朝のメールに返事を出してないことを思い出した。
まだ悩んだ結論が出たとは言えなかったけど、予定外の出費が選択を後押しする。
4番……つまり動画の撮影と、その使用を許可することを書いて返信した。
これでスイーツ代が少し浮くことになるハズ。そう考えると、沈んでいた気分が少しマシになった気がした。
翌朝。起きた私はまずベッド横のカーテンを開いて朝の光を浴びた。
暖かな日差しに包まれていると、すっきりとした気分になれる。
髪はまだ結んでなくて寝癖が付いてたし、Tシャツも捲れてお臍が見えている。
だらしない格好なのは自覚してたけど、窓の向こうは誰もいない駐車場だ。
「んん〜〜っ♪」
朝日に向かって私はそのまま大きく伸びをした。
昨日の白い物体のことなんて、もうどうでもいいような気分になれる。
その後は朝食の準備をしてからTシャツとショートパンツを脱いだ。
下に着ていたのは薄いピンク色のスポーツブラとローライズのショーツでいつもの物だった。
今日でこういう下着とお別れだと自分に言い聞かせて服を着る。
着たのは昨日帰ってから着たのと同じ服だった。
横着な気がしたけど、あまり長い時間着たわけじゃないし、気にしない。
お弁当の準備がないからゆっくりとした朝の時間を過ごせた。
食事を済ませて髪を結って、バッグを手に取る。
ドアを開けて鍵を閉めて休日のお出掛け。
……夜に気付く時まで、この日もカーテンは開きっぱなしだった。
駅に向かって、乗った電車はいつも学校に行く時とは逆方向だった。
ドアの横に立ったまま、見慣れない風景を眺めて5駅先の大きな駅まで過ごす。
駅間が大きいから思っていたより長い時間が掛かった。
駅に着くと人の数は最寄駅よりもずっと多くて、人混みの中を繁華街に向かって歩いて行く。
まず入ったのは駅近くの大きな本屋で、その後に目当てだった下着屋に入る。
自分で選ぶのは無理だと悟っていたから店員さんにアドバイスを求めた。
幾つか試着させてもらいながら結局2組買って、まずは着心地を確かめることにする。
お店を出るともうお昼に近くなっていた。
次に入ったのはファーストフード店で、ハンバーガーとポテト、飲み物のセットで昼食を済ませる。
後は本屋にまた入って幾つか雑誌を立ち読みしてから駅に向かった。
ホームの人の数は多くて、また今日もかな。という予想通り、やって来た電車は満員だった。
ターミナル駅だから降りる人も多かったけど、乗る人の数も当然多い。
下着が入った袋を前に持ちながら、恐る恐る電車の中に乗り込む。
運良く列の先頭に立ってたから、乗客が降りた空白に滑り込むことはできた。けど。
すぐ、後ろから乗り込んで来た人たちに押されて、反対側のドアまで押し込まれてしまう。
窓ガラス越しに外を眺められる代わりに身動きは一切取れない。
このまま最寄駅まで同じ体勢だと思うと、少し憂鬱な気持ちになった。
【撮影の提案ありがとうございます。……定期的に送られると聞いて応じちゃいました】
【マーキングの意味にはまだ気付いてませんけど、いつか分かっちゃうんですよね……】
【2連続で電車はどうかな? とも思いましたが、折角乗ったのでまた接触の隙を見せちゃいました】
【車内で何かしてもいいですし、他の展開でも】
【あ、試供品という言い方もありましたね…!】